東京の浜松町と羽田空港を結ぶ東京モノレールに17年ぶりに新車が登場。7月15日に報道関係者向けの試乗会があった。新車両は18日から定期運行を始める。首都高速道路が6月25日に羽田線の更新計画を発表、7月20日には空港船着場に定期航路が開通するなど、羽田空港を巡る動きが慌しい。モノレールに乗って空港に向かうと、羽田周辺の未来が見えてくる。

滑走路と駐機場を増設へ

 モノレール試乗会に先立つ7月8日、国土交通省の交通政策審議会が首都圏空港の機能強化について中間取りまとめを公表した。羽田空港については2020年開催の東京オリンピックの前後で、処理能力の’拡大へ向けて新滑走路を設置するなどの案を盛り込んだ。

 取りまとめたのは、航空分科会基本政策部会内の首都圏空港機能強化技術検討小委員会。羽田空港の処理能力について、6年後の東京五輪までに、発着回数を現行の1時間当たり80回から最大83回まで増やせる可能性を示唆した。年間では処理能力が最大3万9000回拡大すると見込み、駐機場やターミナルビルなどを整備する必要性を指摘した。駐機場も不足するので、旧整備場地区を候補地として増設する案を挙げた。

 また、東京五輪後に滑走路を増設する案も盛り込んだ。新たに設ける滑走路は、現在のC滑走路から760m以上離れた位置に並行して設置するセミオープンパラレルが、処理能力拡大の面から最も効果が高いと結論付けた。工事期間は10~15年程度と想定した。

 新滑走路は1本を到着用、もう1本を出発用として独立運用する。2本の同時到着はできないものの、同時出発は可能としている。

モノレールから新たな駐機場の候補地(写真左の緑地付近)を眺める。描画は、羽田空港へ通じる道路や鉄道と、国が提案した新滑走路と新駐機場の位置イメージ(写真・資料:大野 雅人)
モノレールから新たな駐機場の候補地(写真左の緑地付近)を眺める。描画は、羽田空港へ通じる道路や鉄道と、国が提案した新滑走路と新駐機場の位置イメージ(写真・資料:大野 雅人)

更新工事が始まる首都高1号羽田線と東京モノレール羽田空港線(写真:大野 雅人)
更新工事が始まる首都高1号羽田線と東京モノレール羽田空港線(写真:大野 雅人)

7月18日から営業運転に就く東京モノレールの新型車両10000形。モノレール車両初となるLED車幅灯が光る(写真:大野 雅人)
7月18日から営業運転に就く東京モノレールの新型車両10000形。モノレール車両初となるLED車幅灯が光る(写真:大野 雅人)

東京モノレールから羽田空港船着場を見る。もともとこの船着場付近は三愛石油が所有・管理していたもので、旧タンカーバースを含む周辺を日本空港ビルデングが譲り受け、桟橋や待合所を新たに設置した。手前の緑地は旧・羽田東急ホテルの跡地(写真:大野 雅人)
東京モノレールから羽田空港船着場を見る。もともとこの船着場付近は三愛石油が所有・管理していたもので、旧タンカーバースを含む周辺を日本空港ビルデングが譲り受け、桟橋や待合所を新たに設置した。手前の緑地は旧・羽田東急ホテルの跡地(写真:大野 雅人)

2007年の羽田空港。船着場や東京モノレールの旧線、工事中の国際線ターミナルが見える(資料:国土地理院)
2007年の羽田空港。船着場や東京モノレールの旧線、工事中の国際線ターミナルが見える(資料:国土地理院)

東京モノレールから羽田東急ホテル跡地を見る。東京モノレールの旧線も、写真の環状八号線と同様に右へカーブしていた(写真:大野 雅人)
東京モノレールから羽田東急ホテル跡地を見る。東京モノレールの旧線も、写真の環状八号線と同様に右へカーブしていた(写真:大野 雅人)