道路の2層化で幅を半分以下に
未開通区間の着工に向けて、東京都は道路の構造を見直した。池袋方面に向かう北行きの2車線を一部トンネルにして地下化。渋谷方面に向かう南行きの2車線をトンネルの上に重ねる2層構造に変えたのだ。
この変更によって、平面構造の4車線としていた当初計画では30m以上あった道路の幅が、半分以下の14mに縮小。新宿御苑の敷地への影響はほとんどなくなり、森を囲う柵の位置を変える必要もなくなった。
トンネルによる地下水への影響が懸念されることに対して、東京都は地下水の定期的なモニタリングを実施すると環境省に提案。環境省も承諾した。
東京都は05年6月、平面の4車線から2層構造の道路に改めるための都市計画変更を決定。46年の当初の都市計画決定から半世紀以上を経て、ようやく工事が動き始めた。
新たな構造で造る道路のトンネルは、鉄筋コンクリート造のボックスカルバートと呼ぶ箱型のもの。長さ約800mの整備区間のうち、北行きの400mがトンネルとなる。トンネルの標準的な内空断面は幅が8.25m、高さが6~8mで、2車線を確保する。
渋谷から池袋方面に向かう場合、千駄ヶ谷5丁目交差点付近からトンネルに入り、現在の明治通りの南行き車線の下をくぐった後、内藤町の交差点の手前で再び地上に出て御苑通りに向かう。トンネルを組み合わせた2層構造にすることで、平面構造では必要となる信号が少なくなり、渋滞が起こりにくいという利点も生まれた。
明治通りは甲州街道と平面交差するのに対し、新たに整備するバイパスは甲州街道と立体交差する。内藤町の交差点でバイパスは地上部を通る一方、甲州街道は同交差点の手前でトンネルに入るからだ。