区が橋の名前を公募

 隅田川橋りょうは、これまで隅田川の最下流にあった勝鬨(かちどき)橋などの歴史的な橋に多いアーチ形式を採用。さらに、アーチ部材を外側に傾けたうえ、車道の上をまたぐ横支材を一切なくして、開放感の高い構造とした。

架設した中央径間を勝どき側から見る。2つのアーチ部材が外側に傾いているのが分かる(写真:ケンプラッツ)
架設した中央径間を勝どき側から見る。2つのアーチ部材が外側に傾いているのが分かる(写真:ケンプラッツ)

隅田川の河口から見た隅田川橋りょうの完成パース。上流側に勝鬨橋が見える(資料:東京都)
隅田川の河口から見た隅田川橋りょうの完成パース。上流側に勝鬨橋が見える(資料:東京都)

隅田川橋りょうの完成パース。アーチ部材の上部同士をつなぐ横支材がなく、開放感が高い(資料:東京都)
隅田川橋りょうの完成パース。アーチ部材の上部同士をつなぐ横支材がなく、開放感が高い(資料:東京都)

隅田川橋りょうの完成パース。歩道には御影石を敷く(資料:東京都)
隅田川橋りょうの完成パース。歩道には御影石を敷く(資料:東京都)

 アーチの大きさは、隅田川の「ゲート」としてふさわしい規模にする半面、勝鬨橋とのバランスも考えた。勝鬨橋が右岸側と左岸側に計2つのアーチを持つのに対して、隅田川橋りょうは中央にアーチをしつらえ、川面から2橋を見通したときに繊細で軽やかな印象となるようにした。

設計の際に比較検討した3案。単径間アーチ橋は、巨大なアーチが勝鬨橋を圧倒してしまうとして採用を見送った。3径間連続桁橋は、隅田川の河口に設ける橋として「ゲート性が低い」と評価された(資料:東京都)
設計の際に比較検討した3案。単径間アーチ橋は、巨大なアーチが勝鬨橋を圧倒してしまうとして採用を見送った。3径間連続桁橋は、隅田川の河口に設ける橋として「ゲート性が低い」と評価された(資料:東京都)

 傾けたアーチ部材につながるケーブルは、主に車道の床版を支える。上に大きく開いた橋全体をハープのように見せる効果も狙う。

 橋はやや青みのある明るい灰色で塗装して、構造的な特徴を際立たせた。高欄などの付属物もできるだけシンプルなものを採用する。

 車道の両端に設ける歩道は、水辺側に最大2mほど張り出し、川の景観が楽しめる快適な歩行空間をつくる。歩道の舗装には御影石を採用。耐久性が高いうえ、経年変化したときに風合いが増すからだ。「時を経ても品格を失わず、観光名所となる橋を目指す」と都の担当者は意気込む。

 橋の名称は現在、地元の中央区が公募している。同区内に在住、在勤、在学の人が条件で、5月20日まで受け付ける。区が住民などの声をまとめた後、東京都が最終的に決定する。

隅田川の河岸のテラスには、架設の様子を一目見ようと、報道陣だけでなく近隣の住民や会社員なども集まった。JVの職員が工事のパンフレットを配布。住民からは「新橋などと直接つながるので便利になる」との期待がある一方で、「隅田川の見慣れた景色が変わってしまう」と惜しむ声も聞かれた(写真:ケンプラッツ)
隅田川の河岸のテラスには、架設の様子を一目見ようと、報道陣だけでなく近隣の住民や会社員なども集まった。JVの職員が工事のパンフレットを配布。住民からは「新橋などと直接つながるので便利になる」との期待がある一方で、「隅田川の見慣れた景色が変わってしまう」と惜しむ声も聞かれた(写真:ケンプラッツ)