隅田川の封鎖を最小限に

 隅田川橋りょうは大日本コンサルタントが設計した。橋桁の製作と架設工事は、IHIインフラシステムと川田工業のJV(共同企業体)が担当している。側径間の2つのブロックは香川県多度津町にある川田工業四国工場で、中央径間のブロックは堺市にあるIHIインフラシステム堺工場などでそれぞれ製作。いずれも台船に載せて東京港まで海上輸送した。

5月8日早朝、豊洲ふ頭に停泊する台船に載せた中央径間のブロックを起重機船が吊り上げ、隅田川の河口に向かって移動を始める。写真右はレインボーブリッジ(写真:ケンプラッツ)
5月8日早朝、豊洲ふ頭に停泊する台船に載せた中央径間のブロックを起重機船が吊り上げ、隅田川の河口に向かって移動を始める。写真右はレインボーブリッジ(写真:ケンプラッツ)

レインボーブリッジを背景に進む(写真:ケンプラッツ)
レインボーブリッジを背景に進む(写真:ケンプラッツ)

ビルの谷間から突如、隅田川を上る起重機船に吊られた橋が姿を現した(写真:ケンプラッツ)
ビルの谷間から突如、隅田川を上る起重機船に吊られた橋が姿を現した(写真:ケンプラッツ)

架設現場に到着した起重機船(写真:ケンプラッツ)
架設現場に到着した起重機船(写真:ケンプラッツ)

側径間の床版上にH形鋼などで三角形に組んだガイドに沿って、中央径間のブロックを下ろす。許される設置誤差はプラスマイナス15mmだ(写真:ケンプラッツ)
側径間の床版上にH形鋼などで三角形に組んだガイドに沿って、中央径間のブロックを下ろす。許される設置誤差はプラスマイナス15mmだ(写真:ケンプラッツ)

 工事を発注した東京都によると、隅田川の河口に位置する架設現場は船の航行が多い。河川内に仮支柱などを打ち込んで、両岸から橋桁を少しずつ延ばすといった方法を採用するのは難しかった。側径間と中央径間の計3つのブロックを起重機船で一気に架設することで、航路を閉鎖する時間を最小限に抑えた。

 架設日時は、潮位の変化が大きい大潮や中潮を避けて設定した。大潮などでは架設現場周辺の潮や川の流れが複雑になり、起重機船の位置決めが難しくなるからだ。

 それでも当初、5月7日に予定していた中央径間の架設は1日遅れた。ゴールデンウイーク中に日本列島を前線が通過した影響で海が荒れ、台船による橋の海上輸送がずれ込んだ。橋の架設工事は見た目がダイナミックなものの、繊細な作業が求められる。