施設除却に地方債の特例

 総務省では、管理計画策定に対する支援をしていく。まず策定指針を示すなどの助言、そして計画策定に要する経費の支援(経費の2分の1までの特別交付税措置)を行う。

 また、管理計画に基づく施設の除却については、法改正に伴い地方債の特例措置を創設する。地方債の充当率は75%で、計画額は14年度で300億円。この特例は14年度以降も当面は続ける予定だ。

 管理計画策定のポイントを説明する〔図3〕。まず、土木部門や教育部門なども含めて、全体像を把握してほしい。更新のシミュレーションソフト「公共施設更新費用試算ソフト」が、地域総合整備財団(ふるさと財団)のウェブサイトで無償公開されている。

〔図3〕公共施設等総合管理計画の策定指針(案)の概要
(資料:総務省)
(資料:総務省)

 計画期間は10年以上の長期とすることが望ましく、施設の老朽化や利用状況などを全庁で集約する部署を定めて取り組むことが重要だ。

 計画には、まず大枠としての考え方を記載したうえで、(1)点検・診断、(2)維持管理・補修・大規模改修・更新、(3)危険除去、(4)長寿命化、(5)統廃合、(6)人員体制など個別の方針を定めていく。そして、そのフォローアップについても記載する。

 最初からきちんとした計画をつくるというよりも、見直しを重ねながら内容を充実させていくイメージだ。

 計画の策定や実施では、議会や住民などステークホルダーとの情報共有も重要である。施設の診断結果や運営方針の報告方法についても定めておく必要がある。

 このほか民間のノウハウを活用するPPP(官民連携)やPFI(民間資金を活用した社会資本整備)も積極的に検討すべきだ。特に人の集まる施設では、民間施設との合築、あるいは、民間で代替できるのであれば任せていくことを考える。

 一市町村フルセット主義ではなく広域連携も検討する。道路交通網が整備されている今の時代は、近隣自治体間で、この市はスポーツ施設、この市は音楽ホールといったような役割分担を考えていくべきだろう。

 公共施設の老朽化対策は、自治体の財政負担軽減につながる。管理計画の実効性を担保するためにも、数値目標はぜひ設定してもらいたい。なお、本講演には個人的な見解も含まれていることをご了承願いたい。