兵庫県三木市のブルボンビーンズドームは、国内最大級の屋内テニスコートだ。大空間スポーツ施設の機能だけでなく、災害時の拠点としての機能も備える。東日本大震災ではその役割を存分に発揮した。(日経アーキテクチュア)

遠藤 秀平氏(写真:広田 幸喜)
遠藤 秀平氏(写真:広田 幸喜)

東日本大震災で有用性を確認

 兵庫県は阪神大震災を契機に防災公園の整備に着手し、2005年に「兵庫県立三木総合防災公園」を開園した。同じ公園内に2007年に完成した「ブルボンビーンズドーム(兵庫県三木総合防災公園屋内テニス場)」は、兵庫県が実施したプロポーザルで私が設計者に選定され、設計業務を手掛けたものだ。延べ面積は約1万6000m2。無柱空間としては世界最大のテニスドームで、1500席のセンターコートを挟んで両側に4面ずつ、計9面のテニスコートを擁する。テニスの国際基準を満たす施設で、国際的に活躍するプレーヤーも合宿などで利用している。

 日常は、テニスをはじめさまざまなイベントで多くの人に利用されているが、一方でこの施設は災害発生時の活動拠点としての役割を担う。非常時には、大量の救援物資を仕分けしたり、被災地に救援に向かう自衛隊が一時的に駐屯したりする拠点となる。

 防災拠点は、大空間であることが大切だ。誰がどこで何をしているのか、ひと目で把握でき、短時間で効率良く人やモノの情報を整理できることが不可欠だからだ。