三井不動産は、管理・運営しているオフィスビルについて独自の環境性能評価を実施し、実測値に基づいて設備容量を適正化。新築ビルでは設備容量を20~40%削減し、初期投資と運営コストを抑制している。(日経アーキテクチュア)

曽根 佳彦氏(写真:渡辺 慎一郎)
曽根 佳彦氏(写真:渡辺 慎一郎)

過大な設計をやめてコストダウン

 三井不動産グループが首都圏と国内の主要都市で管理・運営しているビルは、約300棟に上る。これらのビルの運用データに基づき、環境性能のチェックなどに取り組んでいる。

 ビルごとに環境性能の達成目標値と努力目標値を、2009年の4月に設定した。指標は4つ。建物の断熱・遮熱性能を単位面積当たりの年間熱負荷で示すPAL。設備の省エネ効率を基準値からの低減率で表すERR。建築環境総合性能評価システムのCASBEE。そしてCO2排出量だ。

 これらの目標を実現するために2つのツールを開発した。1つは環境対策実行ツール。階数・規模や窓面積率など建物概要を入力し、実行予定の環境対策を設定するとCO2削減量の概算値を算出できるものだ。もう1つは、1m2当たりのCO2排出量(原単位)を高い精度で予測できる原単位管理ツールだ〔図1〕。

〔図1〕CO2排出量の計算値と実績値の比較
1m2当たりのCO2排出量(原単位)を予測できる原単位管理ツールの計算値と実績値を示したもの。2008年以降、CO2排出量の削減を実現している(資料:三井不動産アーキテクチュラル・エンジニアリング)
1m2当たりのCO2排出量(原単位)を予測できる原単位管理ツールの計算値と実績値を示したもの。2008年以降、CO2排出量の削減を実現している(資料:三井不動産アーキテクチュラル・エンジニアリング)