CO2排出量を50%削減

 鹿島KIビルは、当社が実施したZEBの実証事例の1つだ。地下1階、地上9階建ての建物で、11年の改修に合わせて6階部分の490m2でZEB化に取り組んだ。既存建物の改修なので、CO2排出量の50%削減を目標にした。

 太陽光発電とリチウムバッテリーなどを組み合わせたシステムに、ピークカットなどの節電対策を採用。非改修エリアとの比較で、目標通り50%削減を実現した。

 新築の建物では、当社技術研究所の本館研究棟でZEB化に取り組んだ。12年度には、CO2排出量を基準ビルに比べて62.5%削減した〔図3〕。具体的には、南面に深い庇を設けて日差しを制御。フラットスラブのじか天井による空間を利用したダクトレス空調システムなどを採用した。

〔図3〕鹿島技術研究所本館研究棟でのCO2排出量の累積値
2011年10月を起点に、CO2排出量の累積値を表したグラフ。2011年度の実証実験では、CO2の年間排出量を基準ビルに比べて61.8%削減。12年度は62.5%削減という結果が出た(資料:鹿島)
2011年10月を起点に、CO2排出量の累積値を表したグラフ。2011年度の実証実験では、CO2の年間排出量を基準ビルに比べて61.8%削減。12年度は62.5%削減という結果が出た(資料:鹿島)

 今後は、プリンター複合機の運転見直しや、蛍光管のLED化などの運用改善や軽微な改修によって、さらなるエネルギー消費量の削減を図る予定だ。

 ZEB技術を採用していくうえで最大の課題はコストだ。例えば、ZEB化のために、イニシャルコストが25%上昇した場合、このコストを省エネによって回収するには20年程度を要する。ZEB化のコストを下げ、回収期間をいかに短くするか。さらなる技術開発に取り組んでいく。