フジタは2月5日、土中で見えにくい場所打ちコンクリート杭の施工品質を確認できる「場所打ち杭施工管理システム」を開発したと発表した。タブレット端末のiPadを使って施工現場で計測数値や試験結果などを入力。コンクリート高さやトレミー管挿入長さなどを自動計算し、図示することでリアルタイムに土中の状況を確認しながら施工できるという。

 以下は発表資料。


フジタ式アースドリル杭工法の施工品質を見える化

― 施工管理システムを開発 ―

 株式会社フジタ(本社:東京都渋谷区、社長:上田卓司)は、フジタ式アースドリル杭工法※1を採用した場所打ちコンクリート杭の施工を対象とした「場所打ち杭施工管理システム」(図1)を開発しました。本システムは、同工法の施工状況をリアルタイムで数値管理し、土中で見え難い杭の施工が計画通り高品質で実施されていることを「見える化」しています。

 フジタ式アースドリル杭工法は、従来工法に比べ、施工精度を高めた高品質な杭を構築し、支持力・強度・設計など必要な性能を確実に確保できる杭工法で当社の独自技術です。(末尾に工法の概要と特徴を記載)

 今回開発した「場所打ち杭施工管理システム」は、米Apple社のiPad®※2を用いて施工現場での計測数値や試験結果などを入力する事で、コンクリート高さやトレミー管(底部までコンクリートを圧送するためのパイプ)の先端位置情報などを自動計算し、図示することでリアルタイムに土中の状況を確認しながら施工することができるため、高品質な杭を更に安定して提供することができます。 また、従来は、あらかじめ印刷しておいたシートに記入し、作業終了後に事務所に戻り、パソコン内の管理ファイル(Excel形式)に数値を入力して数種類の品質管理シートを作成しなければなりませんでした。そのため、施工状況について複数の管理者で情報共有することが難しいのが実情でした。

 本システムでは、事務所において、現場で入力したデータを一括で取込む事ができるため、施工状況の確認や帳票作成の手間を省けます。また、本・支店においても同様に作業状況を閲覧できるため、的確な技術サポートが可能になります。

 今後、現場打ち杭の施工にあたっては、このシステムを利用したフジタ式アースドリル杭工法の導入を進め、品質管理を徹底し、常に安定した場所打ちコンクリート杭の構築を実現することで他社との差別化を図り、お客様に信頼される高品質な施工物を提供していきます。

《場所打ち杭施工管理システムの特徴》

  • リアルタイム画面(図-2)によりコンクリート高さやトレミー管挿入長が数値で確認でき、撤去可能か一目で判断できる。
  • 残り打設数量、平均打ち上げ高さ及び平均杭径を自動算出する事で、計画通り施工されているか確認できる。
  • 現場での使用に特化した独自テンキーを開発した。(図-3)
  • インターネット経由で事務所や支店からでも情報をリアルタイムで共有できる。
  • 帳票作成のための管理ファイル(Excel形式)との連動を簡単に行う事ができる。

図1 システム概要図
図1 システム概要図

図2 リアルタイム画面
図2 リアルタイム画面
図3 独自開発テンキー
図3 独自開発テンキー

※1 財団法人日本建築センター 建設技術審査証明:番号BCJ-審査証明-97

※2 Apple、iPad、iPad miniは、米Apple, Inc.の登録商標です。

《フジタ式アースドリル杭工法の特徴と概要》

  • フジタ式アースドリル杭工法は、鉛直支持力や杭体のコンクリート強度等の設計で要求される性能を確実に確保するために、独自に改良を加えた以下に示す5つのフジタ式の工法を、標準管理仕様(F仕様)に基づいて実施する、アースドリル杭およびアースドリル拡底杭の施工法である。

  • 杭頭心ずれの施工精度を確保するための敷き鉄板枠敷設工法(図4参照)
  • 杭頭部の主筋を溶接しないで組み立てる杭頭部無溶接工法(図5参照)
  • 袴状スライム処理機を用いた良液置換によるスライム処理工法(図6参照)
  • 杭頭部のコンクリート強度を確保するための杭頭バイブレータ工法(図7参照)
  • 杭の深さ方向に配合の異なるコンクリートを打ち分ける配合調整工法(図8参照)

図4 敷き鉄板枠敷設状況
図4 敷き鉄板枠敷設状況
図5 杭頭部無溶接状況
図5 杭頭部無溶接状況

図6 袴状スライム処理機によるスライム処理
図6 袴状スライム処理機によるスライム処理

図7 杭頭バイブレーター設置状況
図7 杭頭バイブレーター設置状況
図8 配合調整工法によるコンクリート強度
図8 配合調整工法によるコンクリート強度

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