東京スクエアガーデンの「京橋の丘」。低層部を多層の緑地帯にした(写真:東京建物)
東京スクエアガーデンの「京橋の丘」。低層部を多層の緑地帯にした(写真:東京建物)

 「もうかりもしないのに、なぜ省エネにカネをかけなければならないのか」というビル事業者の疑問が、「社会が求めるから」という意識に変化し始めたのは2010年前後のことだ。そしてこの意識は、2011年3月の東日本大震災を経て、テナントのニーズを捉え、投資家の期待にも応える手段として浸透していく。省エネは一つの価値でしかなく、防災、事業継続、長寿命などを合わせたサステナビリティー(持続可能性)が、ビルづくりやビル選びに欠かせない視点として加わった。

第三者の認証が普及

 そして2012年以降、環境配慮を軸とした新築や改修、運営、評価は、さらに進化を続けている。新築ビルがサステナブルな建物であることは当たり前。自称「サステナブル」では説得力に欠けるので、金融機関などの第三者による環境認証を取得する動きが活発化している。新築ビルだけでなく、築30年、築40年といったビルが改修を施し、高い格付けを取得するケースも出てきた。 すべての取り組みは、賃貸ビルにおける収益の源であるテナントの満足につながる。

●サステナブルビルに関する主な出来事
2012年 8月データセンターの新豊洲キューブが米国の建物環境認証システムLEED-CSで日本初のプラチナ認証取得 →関連記事
9月省エネ・防災・長寿命の性能を備えたヒューリック大伝馬ビルが竣工
→関連記事
10月築49年のDaiwa銀座ビルが三井住友銀行のSMBCサステイナブル ビルディング評価でゴールド認証取得 →関連記事
10月 築30年の物産ビルがLEED-EBOMでプラチナ認証取得 →関連記事
11月建築環境・省エネルギー機構(IBEC)が「CASBEE不動産マーケット普及版」の先行認証開始 →関連記事
12月三菱UFJ信託銀行がテナントの視点で評価する「社会配慮型オフィスビル評価指標」を発表 →関連記事
2013年 1月 窓の開く超高層オフィス、JR神田万世橋ビルが完成 →関連記事
2月1月に竣工した日本橋アステラス三井ビルディングが賃貸オフィス初のLEED-CSゴールド認証取得 →関連記事
3月国が350億円を出資する耐震・環境不動産形成促進事業(官民ファンド)の事業法人を採択  →関連記事
3月不動産協会が「不動産業環境実行計画」を発表。「環境と経済の両立」に向けた取り組みを強化 →関連記事
3月LEEDを通じて環境ビルの普及を支援する組織、グリーンビルディングジャパンが発足 →関連記事
3月建設費が坪50万円台の環境配慮型ビル、ラゾーナ川崎東芝ビルが完成
→関連記事  
3月都心に約3000m 2 の緑化帯「京橋の丘」を設けた東京スクエアガーデンが
完成 →関連記事
4月日本政策投資銀行のDBJグリーンビルディング認証の実績が100物件を突破
→関連記事
(注)LEED(リード:Leadership in Energy & Environmental Design)は米国グリーンビルディング協会が開発・運用している建物環境認証システム