テナントは、オフィスビル事業者の環境配慮の取り組みに必ずしも満足していない。日経不動産マーケット情報が東京都内の主要オフィスビルのテナントを対象に実施した2012年の調査から、結果のいくつかを紹介する。


 調査は2012年4月~5月、東京都内の延べ床面積1万m2以上の主要オフィスビルのテナントを対象に実施し、315件の有効回答を得た。この結果、東日本大震災後のオフィスビル事業者の節電対応が、テナントの不満を招いている実態が明らかになった。オフィスビル共用部の節電の収支について、ビル事業者から納得のいく説明がないという回答が全体の6割を占めた。ビル事業者から納得のいく説明があったという回答は15%にすぎない。

 調査結果は、ビルオーナーの投資リスクを軽減しながらテナントの要望を実現するしくみの導入に、一定のニーズがあることも示している。オフィスビル専用部の省エネ改修について、「電気料金削減見込み分の範囲内でなら負担してもよい」と答えたテナントが約半数を占めた。テナントには、照明のLED化など、テナント専用部の省エネ改修の費用負担の意向を聞いた。条件付きで費用負担の意向を示したのは全体の49%。「全額負担してもかまわない」という回答も2%あった。

 省エネにつながるLED照明などの導入をテナントが求めても、ビル事業者が拒むことがある。テナント満足度が向上する効果が見込めるものの、電気料金削減という見返りの多くがテナントのメリットになることが、省エネ改修が進まない理由の一つだ。

7割が標準内装以外を希望