北山孝雄氏が語る「大切な資産としての“水辺”」

インタビュー:北山創造研究所代表 北山孝雄氏

2012/12/14

「街は日常生活の必需品」「モノを持つことよりも、生きる糧になるようなコトに皆が対価を支払うようになってきた」――。こう語る北山氏は全国各地でにぎわい創出をプロデュースしてきた。そこでは「水辺」をどう生かしてきたのだろうか。(聞き手は前・日経アーキテクチュア編集長、真部 保良、現・日経BP社インフラ総合研究所)


真部 北山さんが商業施設や集客施設をプロデュースするとき、その場所にある海や川などの水辺の景観について、どう意識しながら計画をつくり上げていくのですか。

北山 もし施設の敷地の前に川や海があるなら、それはその土地が持っている資産です。資産は活用しないといけませんよね。

賛同者がいるかどうかがポイント

北山孝雄(きたやま たかお)氏 1941年大阪府生まれ。人々が望む生活イメージを描き、それを実現するための手段を組み立てながらその実現を図る「生活プロデューサー」(写真:鈴木 愛子)
北山孝雄(きたやま たかお)氏 1941年大阪府生まれ。人々が望む生活イメージを描き、それを実現するための手段を組み立てながらその実現を図る「生活プロデューサー」(写真:鈴木 愛子)

北山 例えば、徳島市の「東船場ボードウォーク」(1996年完成)は、徳島市の中心市街地を流れる新町川沿いの遊歩道ですが、その前は駐車場でした。「駐車場よりも歩いた方が楽しいですよ」というのが我々の提案でした。

 川を見ながら散策すれば、多くの人は「気持ちいいなあ」と感じると思うんですね。そうなることで「土地の価値が上がって、活用できる」ということになるのです。

 単一の施設だけで完結せず、街全体をどうしたらいいかを考えるわけです。

真部 車社会の都市で、「車に乗らず歩こう」という提案は、理解されにくかったのではないですか。

北山 僕らの提案はだいたい通らないんですよ(笑)。20〜30件ほど提案して、通るのは一つくらいです。

 この事例のような、民・民の境界、官・民の境界など土地の権利が複雑な開発は、なかなか誰も手を着けたがらない。特に河川に隣接していると国土交通省との調整が必要になることもあります。なので、僕らのプロジェクトは大抵時間がかかります。この徳島の事例は10年近くかかりました。

真部 プロジェクトを実現させるポイントはどこにありますか。

北山 こうした難しいプロジェクトが実現する場合、だいたい賛同してくれる人がいるんです。「東船場ボードウォーク」の場合は、中村さん(中村英雄氏。現在、NPO法人新町川を守る会会長)という地元の方の協力が得られたことが、実現に向けた大きな力となってくれました。

東船場ボードウォーク(徳島市) 地元商店街振興組合が主体となり、市内中心部の新町川沿いに総延長287mの木製遊歩道を、県や市が公園を一体的に整備。1996年完成(写真:北山創造研究所)
東船場ボードウォーク(徳島市) 地元商店街振興組合が主体となり、市内中心部の新町川沿いに総延長287mの木製遊歩道を、県や市が公園を一体的に整備。1996年完成(写真:北山創造研究所)

真部 そうした人は、どのようにして見つけるのですか。

北山 そうした人が現れるかどうかは時の運です(笑)。賛同者が見つからず構想だけで終わってしまうケースも多いですよ。

消費する施設から楽しむ施設へ

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構成:大井 智子=ライター日経アーキテクチュア

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