やる気のある自治体を支援する方法を

 制度的な面から見ると、2002年施行の都市再生特別措置法が、民間事業者による提案制度を取り入れた。都市再生整備計画の中で、商店街や地元事業者が道路の維持管理を提案したり、道路占用許可を外して沿道と一体に用いる道路空間の計画を提案したりできるようになった。現在は緊急整備地域に指定した上で進めているが、徐々に恒久措置のような形になっていくはずだ。

 また、各自治体は現在、社会資本整備総合交付金(都市機能誘導関係、公共交通施設・歩行空間関係)を前提に、アウトカム(成果)の目標を設定し、それを達成するための整備計画を立てている。こうした整備計画は今後、面的な整備ではなく、むしろストリート、すなわち線の整備に転換していくのが望ましい。

 というのは、市街地の空間は現実には、道路空間の両側にあるものだからだ。沿道の地元商店会などが、道路管理者や警察を含む行政とともに道路と市街地を一体に扱って空間の管理に関与していくことができれば、官民パートナーシップの関係をよい形で構築できるかもしれない。要は、道路空間の使い方などのデザインを民間が担うことができるようにする。それを沿道の空間と一体に扱っていき、街のデザインにまで発展させていくというイメージだ。

 それらと併せて、資金調達面の課題もある。各自治体には地方交付税交付金が下りるが、これは最低限の行政サービスを保障するなど自治体間の格差をなくすことを目的としているものだ。補助金制度は、頑張っている市町村に資金を交付して財政規模を拡大させる仕組みになっていたが、それに代わって現れてきた地方交付税制度の場合、地域間競争のための事業にお金を回しにくい構造を生み出している。自治体が将来をにらんだ事業を展開したい、そのための投資をしたいという場合に、国が別枠で資金を提供するような仕組みがあればいいのだが、それが今は欠けている。

 例えば、ファンドを扱っている人たちなども、成長のビジネススキームを描いている人たちを支援するわけだから、地域間の横並びを前提にするのは無理がある。自治体に競争や挑戦を促すような仕組みがないと、都市は成長していかない。それがあってこそ、オンリーワンの地域づくりが可能になり、地方の都市でもブランドが立っていくようになるはずだ。(談)

※ゲーテッドコミュニティー:区域にゲートや塀を設け、住民以外の人間が区域内に進入することを制限し、通過交通の流入防止や防犯性の向上を図る住宅地。