軽量化とコストダウンが急務

 太陽光発電については、少々極端な言い方だが、住宅も含めて全ての建築物における設置を考えていくことが大事だ。航空写真を見ると一目瞭然だが、湾岸部の倉庫群のように太陽光パネルのほとんど設置されていない場所が残っている。

 既存建築物に太陽光パネルを設置するには、軽量化が急務だ。液晶用の超薄型ガラスを採用して軽量化したパネル、CIGS(銅、インジウム、ガリウム、セレンの略)系や有機薄膜による軽い太陽電池の研究も進んでいる。架台については、かつては発電量1MW当たりの重量が360t(基礎を含まない)もあったが、現在、当社では20t台にまで軽量化した製品を製造している。

 また、再生可能エネルギーの普及には、コスト削減が大きな課題だ。いつまでも高い電力を買ってもらうわけにはいかない。太陽光パネルとパワーコンディショナーにとどまらず、設置コストの削減が緊急課題だ。これをやらないと何を言っても絵空事になる。

 そのために、太陽光パネルのモジュールの統一は、ずっと指摘されている問題だ。主要メーカーのパネルを調べたところ、産業用だけでも400種類以上のモジュールが存在した。これでも全てを網羅したわけではない。施工については、部品数の削減、プレファブリケーション、治具工具による施工時間の短縮などを進めていかなくてはならない。

 製品、施工ともに品質の向上も大きな課題だ。台風や豪雪によってパネルが飛んだり、架台が崩れるなどの被害が出ている。太陽光パネルの設置は建築確認申請が不要な場合も多く、調べてみると建築の常識からは考えられないような、構造的に不安定な製品が使われたり施工が行われたりしていたケースもあった。さらなる普及のためには業種や企業、立場を超えて協力し合い、品質を高めながらコストを下げていく努力をしていかなくてはならない。(談)