持続可能な街づくりを考えるとき、災害対策がまず不可欠だ。しかし、免震や制振を採用した建物は、新築ビルで全体の1%以下、既存ビルはもっと少ない割合ではないかと思う。市街地では、いくら自分のビルに対策を施したとしても、老朽化したビルが倒壊し、それがもたれかかってくれば被害を受けてしまう。国を挙げ、抜本的な対策を講じていく必要がある。
免震や制振の普及が進まないのは、コストが掛かるという理由もあるのだろう。加えて「熱しやすく冷めやすい」という言葉があるとおり、時間がたつにつれて災害に備えようとする意識が薄れてしまう問題もあると思う。
それでも以前と比較すれば免震や制振の意義は浸透してきたと感じる。見本市で免震装置を展示したところ、「これ、免震よ、免震よ」と、女性がご家族に向かって連呼する光景まで見掛けるようになったほどだ。自らの生命や財産を地震の揺れから守るために、危機感を持ってもらう必要がある。それが脅しにならないように訴求し、免震や制振の意義を広めていきたいと考えている。