Vol.011 建築界からのメッセージ
目次
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ベトナムを新拠点に長期の視点で構える
新興国進出に賭ける建築界の挑戦
縮小していく国内市場を前提に、アジアでの積極展開を図る建築設計事務所がある。その拠点は、成長著しいベトナム。大手組織事務所の久米設計(東京都江東区)が2009年より、現地法人「久米デザインアジア」を立ち上げて取り組む。東京本社と連携しつつ、地元デベロッパーのプロジェクトを中心に集合住宅やリゾートなど…
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久米権九郎、海外市場と耐震構造で事業展開
建築家に転身した実業家の半生
大正の時代からアジア各地で実業の世界を経験し、帰国した後は建築家に転じた人物──久米権九郎を紹介しよう。ドイツに渡って建築を学び、その際に考案した「久米式耐震木構造」でホテルや別荘建築などを設計した。国際的なビジネス感覚を持ち、建物の耐震性にこだわった半生から、現代に通じるものづくりの姿勢を読み解く…
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建物本位の耐震基準ではなく、事業・生活の継続を
大震災を直視した建築界の取り組み
迫り来る大地震のリスクにどう対応するか。このテーマを突き詰めると、今の建物が抱え込む問題に行き当たる。建築基準法に基づく耐震基準が、構造体が物理的に持つかどうかにしか目を向けていないという点である。むしろ、そこで人が営む事業や生活の継続こそを守るべきではないか。そうした観点で建物を設計する動きが現れ…
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大地震対策――目をそむければ不作為のリスク
<課題共有>企業としての責務を果たせるのか?
日本各地に、そう遠くない時点での大地震の発生を警告する動きが目立つ。ところが、危機感が高まるなか、現行の耐震基準を満たしていない建物が少なからず存在する問題が続いている。過去の大地震で大きな被害を受けてきたそれらの建物に、何の対策も施さずにいる姿勢は許されるのか。建物を提供する側に「不作為」の責任が…
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アジア進出――成長市場に踏み出さないリスク
<課題共有>企業としての責務を果たせるのか?
成長市場であるアジア各国に目を向ける企業は多い。例えば、国民の平均年齢の若さなどでも注目のベトナム。1990年代以降、3度目のブームといわれるほど、日本企業の進出は目立つ。しかし、こうした新興国への一歩を踏み出せないままの企業が存在するのも事実だ。日本の内需の伸びが見込めない今後、海外企業と渡り合っ…