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日経コンストラクショントップ

ケンセツ的視点

デザインビルド時代(1)揺らぐ設計・監理専業

2015/01/05

 設計と施工を一括で発注する「デザインビルド」が増えている。

 2020年東京五輪の会場整備に向けて、東京都はバレーボール会場となる「有明アリーナ」、ボートなどの会場となる「海の森水上競技場」、水泳会場となる「オリンピックアクアティクスセンター」の基本設計の委託先を公募型プロポーザルで2015年1月に決めたうえで、実施設計と施工をデザインビルドで発注する予定だ(関連記事:「五輪施設にデザインビルド、事業迅速化の切り札に」)。横浜市も、2019年度中の完成を目指す新市庁舎建設について、デザインビルドを前提に検討している(関連記事:「横浜市が新庁舎、五輪前にこだわり設計・施工一括」)。

オリンピックアクアティクスセンター(水泳)の完成予想図。立候補ファイルによると建設費は397億円を見込む(資料:東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会)

海の森水上競技場の完成予想図(資料:東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会)

 これまで国内における公共工事では、設計と施工を分離して発注するのが一般的だった。1959年の建設省事務次官通達により「設計の受託者は当該工事の入札に原則として参加できないもの」とされ、設計と施工を異なる者によって実施する設計・施工分離を原則としてきた。「公正に」「安く」を確保するため、発注者は設計者に委託して作成された設計図に基づき、価格競争入札を行い、最低価格を提示した施工者に工事を発注する――。

 しかし、画一的な設計・施工分離発注方式では、ダンピング、入札の不調・不落、発注者のマンパワー・ノウハウの不足、受注者の確保・育成、社会資本の維持管理などのさまざまな課題に対応しきれなくなってきた。そこで、これまで民間工事がメーンだったデザインビルドが、公共工事でも多様な入札契約方式の一つとして導入が進んでいる。2005年4月に施行された「公共工事の品質確保の促進に関する法律」でも、その基本的な方針においてデザインビルドは明確に位置付けられた。

工期短縮や建設コスト削減を見込む

 2009年3月に作成された「設計・施工一括及び詳細設計付工事発注方式実施マニュアル(案)」によると、デザインビルドの主なメリット、デメリットとして以下が挙げられている。

【デザインビルドの主なメリット】
・設計と施工を一元化することにより、施工者のノウハウを反映した設計や、施工者の固有技術を活用した設計が可能になる
・発注業務が軽減されるとともに、設計段階からの施工の準備が可能となる
・設計時から施工を見据えた品質管理が可能になる
・施工者の得意とする技術の活用により、より良い品質が確保される
・技術と価格の総合的な入札競争により、施工者の固有技術を活用した合理的な設計が可能となる

【デザインビルドの主なデメリット】
・施工者側に偏った設計になりやすくなる
・設計者や発注者のチェック機能が働きにくくなる
・契約時に受発注者間で明確な責任分担がない場合、工事途中段階で調整しなければならなくなったり、受注者側に過度な負担が生じたりすることがある
・発注者側が設計・施工を“丸投げ”してしまうと、本来発注者が負うべきコストや品質確保に関する責任が果たせなくなる

JR関内駅前にある現在の横浜市庁舎。村野藤吾氏の設計により1959年に完成した(写真:山崎 一邦)

設計・施工分離発注方式と設計・施工一括発注方式を採用したときの、それぞれの新市庁舎移転までのスケジュール(資料:横浜市)

 デザインビルドは、工期短縮や建設コスト削減などの効果を見込む発注者の間で、近年著しい、工事費高騰や職人不足に伴うプロジェクトの遅延を回避する策としてもてはやされている。今後しばらくの間は、公共工事はもちろん民間工事でも、こうした傾向は続きそうだ。しかも、大型プロジェクトだけでなく、個人住宅のレベルでもデザインビルドが進展する可能性は高いと思う。

 デザインビルドの新風が巻き起こるなか、設計・監理専業の設計事務所はどう対処すればよいのだろうか。果たすべき役割は?存在価値は?………

 設計の主導権をめぐる激動の時代を、ピンチと見るか、チャンスと捉えるか。これから4回にわたり、デザインビルドについてじっくり考えていきたい。


※このコラム記事はケンプラッツのFacebookページのコンテンツを加筆し、再構成しました。ケンプラッツのFacebookページでは最新情報も発信しています。

デザインビルド時代(2)設計事務所vs建設会社

小原 隆ケンプラッツ

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