11月22日に長野県北部で最大震度が6弱の地震が起こり、白馬村を中心に、12月1日時点で全壊36棟、半壊65棟などの住宅被害が生じた。日経ホームビルダー日経アーキテクチュアが現地取材で撮影した写真を何点か見て、「またなのか…」という感想を抱いた。かつて両誌の記者として地震による住宅被害を取材したことがある。現在は住宅を取材する立場にないが、異なる視点から書けることがあると思い、筆を執った。

長野県白馬村の被災住宅の一例。11月24日に撮影。以下の写真も同様(写真:日経ホームビルダー)
長野県白馬村の被災住宅の一例。11月24日に撮影。以下の写真も同様(写真:日経ホームビルダー)

 「また…」と筆者に思わせたのは、主に以下の写真2点だ。接合補強金物や基礎などが現行の、すなわち2000年施行の建築基準法の仕様規定に適合していない可能性の高い木造住宅が大きな被害を受けていた。一方、同じ白馬村にあっても、外観から築浅であることが推測される住宅は、ほぼ無傷に見えたとのことだった。

被災住宅の土台部分。躯体の柱脚との接合を補強する金物が見当たらなかった(写真:日経ホームビルダー)
被災住宅の土台部分。躯体の柱脚との接合を補強する金物が見当たらなかった(写真:日経ホームビルダー)

被災した木造の車庫。完成時期は1995年だという。接合補強金物は、現行の建築基準法の規定に適合していない可能性が高い(写真:日経ホームビルダー)
被災した木造の車庫。完成時期は1995年だという。接合補強金物は、現行の建築基準法の規定に適合していない可能性が高い(写真:日経ホームビルダー)

 構造耐力上、既存不適格で耐震性能の劣る建物が地震にもろいのは、当然と言えば当然だが、それにしても…。20世紀が終わって既に十数年たち、耐震改修の技術も進歩しているはずなのに、このような未耐震化住宅はなぜいつまでたっても無くならないのか。