地域にはシンクタンクが必要
――センターができて間もなく、東日本大震災が起きました。
福和 被災状況を見て、名古屋でも土地利用計画を見直す必要があると気付かされましたが、すぐに見直せるものではありません。
そこで、事前復興計画づくりにまず取り組もうと、公益財団法人名古屋まちづくり公社 名古屋都市センターに設けた「減災まちづくり研究会」に委員長として加わり、「ナゴヤ減災まちづくりビジョン」を今年3月に発表しました。また、減災を進めるには、地域のシンクタンクが不可欠です。名古屋都市センターと協定を結んで様々な連携事業を進めています。
エリア全体の将来計画も、名古屋の経済界と一緒に「ナゴヤ・グランドビジョン」をつくることができました。
行政とも連携しています。名古屋市の総合計画や愛知県の「第3次あいち地震対策アクションプラン」づくりに参画しています。
建築の可能性も広がる
――建築技術者にはどのような役割を期待しますか。
福和 1つには、地域でのボランティア活動があります。常日ごろから安全の確保という課題と向き合う建築技術者が、地域の防災・減災活動をなぜ主導しないのか、と訴えたい。まずは「信頼される建築技術者像」をつくっていかなくてはいけません。
それに加えて、「国や地域、会社を守るために建築に何ができるのか」という建築界の本来持っている役割を、あらゆるところと連携しながら果たしていく。そうして社会の信頼を得ることで、企業や行政の組織のトップと建築の在り方についての話ができるようになるのです。そうなれば「社会で動いている様々な技術成果を統合できる」という、建築が本来持っている可能性は、もっと広がるはずです。