特定エリアを対象とする、民間主導による継続的なマネジメントの取り組みが各地で進展している。災害時の対応など、安全・安心なまちを実現する主体として期待が高まる。エリアマネジメントを実践してきた東京都市大学の小林重敬教授に聞く。
──「エリアマネジメント」という言葉をよく耳にするようになりました。その取り組みと防災の関係をお聞きする前に、まずはエリアマネジメントとは何かをお話しいただけますか。
小林 これまでの日本における都市づくりやまちづくりは「つくる」ことに重点を置き過ぎ、できた後のマネジメントのほうが実は重要なのに、それを軽視していました。結果として衰退していったまちが多いのですが、一度衰退しきってしまったまちが立ち直るのは非常に困難です。そうならないようにするために、できた後のまちをどうしていくかの方向性を定め、エリア単位で積極的にマネジメントしていく活動が必要なのです。
エリアマネジメントにおいて重要な点は3つあります。
1つは、エリアに固有のリソース(資源)を把握することです。どのような魅力的な、あるいは有意義なリソースがあるのかを確認し、既に地元に根付いているものを継続的にまちづくりに生かしていくことが大切です。
2つめは、まちが持つ課題を洗い出し、その課題を克服できるようにまちをつくり替えることです。つくり替えても、また後に別の課題が生じてはいけないので、そうならないようにマネジメントしていかなければなりません。
3つめは、次々と生まれてくる新しい社会動向にエリアとして対応していくことです。単純に対応するだけではなく、まちを「育てる」ことを継続的に考えていかなければなりません。防災というテーマに直結しますが、最近の動向としては東日本大震災以降、安全・安心なまちづくりがエリアマネジメントの課題として急浮上しています。
これらに留意し、最終的には地域価値を向上させること、さらにその価値を高いまま維持することをエリアマネジメントが担っていくのです。