地域コミュニティのなかに潜在的に存在する災害に対応する力を、日常の地域活動を通じて養っていく必要がある。同時に国は、地域としての防災計画を自発的につくっていけるよう、その仕組みの整備を進めている。
内閣府は6月20日に、2014年版の「防災白書」を公表した。本年は冒頭に「共助による地域防災力の強化~地区防災計画制度の施行を受けて~」と題する特集を組んだのが目立つ点だ。
規模の大きい災害時に、公的機関による援助(=公助)には限界があることが近年の震災などの場面から明らかになってきた。これを踏まえ、生命や家族を自ら守り、また非常時に備える「自助」や、地域のなかでお互いに助け合う「共助」の活動を国としても重視し、それらを「ソフトパワー」として引き出していく可能性を検証している。
白書は、地域防災力の向上につながる活動として、(1)一般的な地域活動(地縁活動)の活性化、(2)防災に関する人・組織の整備や充実、および行政による情報支援の強化、(3)事業者と地域住民との間での連携や共生の促進──といった内容を挙げている。これらは地域コミュニティの活性化自体にも寄与するとしている。
白書は同時に、自治会や町内会に属する住民の話し合いによって防災対策を決める「地区防災計画」の普及をうたっている。これは13年6月の災害対策基本法の改正に伴って創設された制度で、内閣府は14年3月に、この地区防災計画の作成手順や方法を示したガイドラインを公表している。