東京都内には複数の拠点的なオフィス街がある。なかでも先陣を切って1970年代から超高層オフィスの建設を続けてきたのが西新宿地区だ。災害対策、特に地震にはどう対処しようとしているのか。耐震改修が進行中の事例を交えて紹介する。

 東日本大震災を経験し、首都圏では帰宅困難者対策が課題として浮かび上がった。現在では、地震発生直後に帰宅するのではなく、勤務するビルなどにとどまって安全を確認できた後に帰宅するという方針に切り替えている事業者が多い。とはいえ、大規模地震が発生した場合には、各事業者や事業所単独での対応には限界があり、エリア内の事業所間、行政機関などとの連携が不可欠となる。

 こうした事態に対応するため、新宿地区では新宿駅を中心とする西口と東口のエリアにいる民間事業者や新宿区、警察、消防など約60団体が「新宿駅周辺防災対策協議会」を組織している。

 新宿駅の東西で地域特性は異なり、西は高さ100m以上の超高層ビルが林立するオフィス街。東は全国一の歓楽街である歌舞伎町があり、デパート、店舗などがひしめく商業地域だ。東京都は、大規模な災害の発生直後には駅周辺だけで約37万人が滞留すると予想している。

西新宿の超高層ビル街。左から2棟目が屋上での制振装置設置工事が進む新宿三井ビルディング、その向かいに建つのがいち早く長周期地震動対策を実施した新宿センタービル (写真:日経アーキテクチュア)
西新宿の超高層ビル街。左から2棟目が屋上での制振装置設置工事が進む新宿三井ビルディング、その向かいに建つのがいち早く長周期地震動対策を実施した新宿センタービル (写真:日経アーキテクチュア)