地震による建物被害のリスクをある程度軽減するためには、土地履歴、地質調査などに関わるデータベースの社会的な共有も有効手段となる。そうした狙いから、東京都が液状化に関する情報の提供に乗り出した。

 地震発生時、あなたの家の地盤は大丈夫か──。東京都は5月1日に、「東京都 建物における液状化対策ポータルサイト」を開設した。液状化に関する情報を総合的にまとめたもので、都内の土地履歴マップや地質調査情報と連動させ、都民などが自ら土地の状況を調べることができる。建物を計画、建設する主体に、それぞれ適切な液状化対策を促すのが狙いだ。

 同サイトは、液状化のメカニズムを分かりやすく解説する「液状化現象って何?」のほか、「液状化を調べる」「液状化対策を検討する」の3つのコンテンツによって構成されている。

「東京都 建物における液状化対策ポータルサイト」。液状化現象の基礎知識から対策まで、幅広い情報を提供する。下は「利用上の注意事項」を記したうえで公開している「東京の液状化予測 」の図。URLはhttp://tokyo-toshiseibi-ekijoka.jp/(資料:東京都)
「東京都 建物における液状化対策ポータルサイト」。液状化現象の基礎知識から対策まで、幅広い情報を提供する。下は「利用上の注意事項」を記したうえで公開している「東京の液状化予測 」の図。URLはhttp://tokyo-toshiseibi-ekijoka.jp/(資料:東京都)

 「液状化を調べる」では、明治時代初期の地図を基に土地利用などの変遷を調べたり、都内で実施されてきた地盤調査の地質(ボーリング)柱状図を見たりすることができる。 「液状化対策を検討する」では、事前措置として被害を抑制するための地盤改良の種類や、もしも被害を受けた場合に工法選定をどう進めるかのフローなどを示している。

 さらに、2013年6月に東京都が創設した「東京都液状化対策アドバイザー制度」の概要なども紹介する(下の図を参照)。同制度は、都と東京建築士会が協定を結び、液状化に関する無料相談を受け付ける仕組みだ。アドバイザーの派遣は有料となる。

「東京都液状化対策アドバイザー制度」の基本方針
ポータルサイトで関心を持ったら、より具体的な「備え」が可能となるように、地盤や建築の知識を持つ専門家が相談に乗る制度を設けた。それぞれの敷地における地盤の状況、液状化発生の可能性などを把握し、地盤特性に応じた対策工法の選定などをアドバイスしてもらうことができる (東京都公表の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
ポータルサイトで関心を持ったら、より具体的な「備え」が可能となるように、地盤や建築の知識を持つ専門家が相談に乗る制度を設けた。それぞれの敷地における地盤の状況、液状化発生の可能性などを把握し、地盤特性に応じた対策工法の選定などをアドバイスしてもらうことができる (東京都公表の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)