建築技師の点検で修繕の優先順位を付け予算執行に役立てる

【導入の歩み】 行財政改革のために資産を活用する観点で09年に財産活用課を設け、11年にはFM専門組織の長期修繕計画室を置いて活動を本格させた。

【主要な狙い】 保有施設全体を見渡し、長期修繕計画を適切に進めるためにデータの一元化を図り、予算執行に当たっての優先順位を付ける。

【組織の体制】 企画財政部にFM専門の長期修繕計画室を置き、事務職のファシリティマネジャー2人、電気、機械を含む建築系の技師7人を配している。

長期修繕計画室のメンバー。前列左が井上昇氏、後列左が三宅香織氏(写真:後藤健治)
長期修繕計画室のメンバー。前列左が井上昇氏、後列左が三宅香織氏(写真:後藤健治)

 倉敷市のFMのスタートは、民間企業で不動産管理の仕事に就いていた井上昇氏(現・同市企画財政局企画財政部)を市が採用した2007年に遡る。同氏は当初、総務部管財課の所属だったが、09年の企画財政部財産活用課、11年の同・長期修繕計画室と新設部署に籍を移しながらFMに従事してきた。FM専門組織となる長期修繕計画室は、やはり民間採用となる建築、電気、機械の技師各1人を加えた4人で始まり、現在は9人に増員している。

 人口48万3000人(14年3月現在)の倉敷市は、約4800棟の建物を保有する。このうちから、管理の明確な学校・幼稚園と市営住宅を除いた上で主要750施設をピックアップし、現場に赴いて点検および報告書作成を行う活動に3カ年計画で着手した。