(2)環インド洋諸国

 インドでは、現在、「第12次5カ年計画」期間であり、2012年4月~2017年3月が対象となっている。具体的な施策として、インフラ分野に官民資金約51兆ルピーが投下される予定であり、これは前回の第11次5カ年計画の約2倍となる。重要な分野は電力、鉄道、上下水、港湾、空港、ほか多岐にわたるプロジェクトが予定されている。インド国内の東西南北を結ぶ各種の経済回廊に関係する多数のインフラ・プロジェクトが、政府間援助や外国資本・技術の導入を視野に計画されている。

 パキスタンでは、2030年に向けて国家開発戦略計画として、「Pakistan in the 21st Century:Vision 2030」が策定されている。同計画では、2030年までに中進国(GDPトップ20)となり貧困の撲滅を目指すとしており、人口増加・都市化の進展を見越し、原子力や再生可能エネルギーを含む発電設備、中国との連携を含めた経済回廊、上下水の100%普及に向けた上下水道・衛生設備の整備などが計画されている。

 バングラデシュでは、国家開発戦略計画として、「Outline Perspective of Bangladesh(Vision 2021)」が制定されている。この中でのインフラ開発は、ICT、電力、交通、上水道といったインフラ整備の各分野について、現状認識を踏まえた開発の方向性が規定されている。具体的には、首都ダッカにおける交通整備や、ダッカ~チッタゴン間の鉄道網整備などが計画されている。

 トルコでは、現在「第9次開発計画(~2013年)」の下で長期開発計画である長期戦略(2001~2023年)がインフラ開発計画として存在する。これら開発計画の骨子は、経済成長を通じた貧困削減と、地域格差(西部と東部)の是正であり、EU加盟へ向けた基本政策が開発戦略の根底にある。また、具体的な開発計画として総合地域開発計画である、「東部黒海沿岸地域開発計画(DOKAP)」や「南アナトリア開発計画(GAP)」などがある。また、中長期の経済発展を見据え陸海運の輸送・物流インフラ整備を進め、外国企業の大型投資誘致策を導入している。

 イランでは、「第5次5カ年計画」において、各インフラ分野における課題および目標が設定されている。電力分野の課題としてエネルギー供給源の多様化、電力開発方式の最適化、発電所の効率化と電力ロスの削減、電力と熱の同時生産が挙げられている。

 アフガニスタンでは、現在、復興計画である「国家優先プログラム(NPP)」が制定され、さらに2015年から2024年までの「変革の10年」を通じた開発戦略「自立に向けて」が策定されている。具体的には、計画において持続可能で成長する経済による自立的発展を目標に設定し、重点分野として、インフラ開発、民間投資促進、農業・農村開発が挙げられている。なお、国際機関の協力の下、地域間「資源回廊」イニシアティブ、源採掘産業育成プログラム、エネルギー供給プログラム、都市計画技術支援、ネットワーク化などのプログラムが存在する。