タイは、道路、港湾、電力といった基本的な産業インフラの整備により海外投資の誘致に成功した。現在は、「国家経済社会開発委員会(NESDB)」において、2012年から2020年までに既存の交通ネットワーク(陸上、海上、航空)の拡大、国のエネルギー・セキュリティの向上、通信インフラ開発、公共ユーティリティ・インフラの向上(産業、民生)を計画している。

 マレーシアは、豊富なエネルギー資源を背景に、工業団地の誘致に成功した結果、工業化が進展した。著しい経済成長を遂げ、その過程で都市部を中心にインフラが整備された。その後は、内需創出とサービス産業の発展を目指している。現在の国家空間計画(NPP-2)においては、マレー半島における主要都市を結ぶ北部回廊と東部回廊沿いの重点開発を打ち出している。

 フィリピンは、長らく政情不安やそれに伴う治安の悪化から、対外投資が減少していたが、Aquino大統領就任後、「フィリピン開発計画2011-2016」を制定し、交通、エネルギー、水、その他インフラへの大規模な投資、特に効率の悪い交通ネットワークと、信頼性の低い電力供給システムの改善を目指している。

 ベトナムは、従来から、「10カ年戦略」および「5カ年計画」を社会経済開発の方向性を示す基本文書として作成し、政策の立案・実施をしており、現在は「社会経済開発10カ年戦略(SEDS)2011-2020」を展開中である。2020年までの工業国化を全体目標に掲げており、その達成に向けインフラ(特に交通・都市)の整備を示し、具体的な開発計画として「社会経済開発5カ年計画(SEDP)2011-2015」が展開されている。

 インドネシアは、2010~2025年の長期計画の中心を成すものとして「経済開発迅速化・拡大マスタープラン」(MP3EI)を発表。電力・エネルギー開発、道路整備、鉄道整備などのインフラ整備を重点施策に位置付けている。なおMP3EIにおいては、スマトラ、ジャワ、カリマンタンなど6回廊を特定し、その回廊において主要なプロジェクトを開発、経済発展を促進することとしている。

 カンボジアでは、国家戦略である四辺形戦略に基づく開発計画として、「NSDP 2009-2013」を策定し、現在推進中である。公共投資プログラム(PIP)のうち、物理インフラの復興と建設では、輸送部門、水・かんがい部門、エネルギー部門、ICT部門の戦略を定めている。

 ラオスは、人民革命党政権下において、「第7次国家社会経済開発5カ年計画」、各種国家戦略・政策の実施に取り組んでいる。国家レベルの開発計画は、政府サイドで資金源、優先順位、目的、計画策定に向けたガイドラインを設定後、各省庁にてセクター別のガイドラインが策定されているが、重要な開発計画として、首都ビエンチャン都市開発マスタープランが策定されつつある。

 ミャンマーは、民主化に移行中であり、国家戦略のマスタープランである「社会経済開発計画」は策定中の段階である。ミャンマーの国土全体の開発計画は現在策定中であるが、ヤンゴンについては直轄市に準ずる扱いで、ヤンゴン開発委員会による2040年までの長期ビジョンを定めた都市開発計画が存在する。そのほか、民主化に伴い、資源開発、電力関連、産業誘致などの各種開発計画が、マンダレーやダウェーなどで展開されている。