3D&バーチャルリアリティ展の様子。各社の展示スペースは多くの人でにぎわっていた(写真:日経ホームビルダー)
3D&バーチャルリアリティ展の様子。各社の展示スペースは多くの人でにぎわっていた(写真:日経ホームビルダー)

 気軽に試作品がつくれることで注目を集めている3Dプリンター。低価格の製品が登場したことなどが追い風となり、製造現場での活用が広がりつつある。

 その波が建築業界にも押し寄せているようだ。東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催していた「3D&バーチャルリアリティ展」や「設計・製造ソリューション展」などの展示会を集めた「日本ものづくりワールド」(2013年6月19日~21日)で、最新の3Dプリンターとその活用事例を見てきた。

 建築物全体を立体モデルとして見せるだけでなく、中の様子、構造の納まりといったディテールを見せる、いわゆる建物のカットモデルがいくつか展示してあったのが印象的だった。建築物をぶった切って構造をあらわにした模型だ。どのモデルも、色が付いた状態なのでイメージがつかみやすい。

 展示ブースの説明員に話を聞くと、建物の受注などにおいて、クライアントに建築物の説明をする際にプレゼンテーション資料の一つとして活用している事例が多いらしい。最近では、まるで写真のように見えるCGでの完成イラストなどはプレゼンツールの一つとしてよく目にするが、手にとって色々な角度から見ることができるカットモデルはやはり説得力という点でより一層印象に残るのではないだろうか。

 見えない部分を見える化する…。建築分野での3Dプリンターの活用は、建物そのものを立体化するだけでなく、中身までも細かく分解して見せるなど、まだまだ多くの使い方が出てきそうだ。例えば、構造の納まり部分だけを拡大したものを3Dプリンターで出力し、施工技術の教育や伝承などに活用するのはできないだろうか。今後どのような3Dプリンター活用事例が登場するのか楽しみだ。

豊通マシナリーのブースで展示していた、桐蔭横浜大学中央棟のカットモデル。製作は清水建設(写真:日経ホームビルダー)
豊通マシナリーのブースで展示していた、桐蔭横浜大学中央棟のカットモデル。製作は清水建設(写真:日経ホームビルダー)
同じく清水建設が製作した桐蔭横浜大学中央棟のカットモデル。角度を変えて見ると、正面とは違ったディテールが分かる。豊通マシナリーのブースで展示していた(写真:日経ホームビルダー)
同じく清水建設が製作した桐蔭横浜大学中央棟のカットモデル。角度を変えて見ると、正面とは違ったディテールが分かる。豊通マシナリーのブースで展示していた(写真:日経ホームビルダー)

スリーディー・システムズ・ジャパンのブースで展示していた、福島原発2号機のカットモデル。武藤工業とアイジェットが協力している。色分けされた配管など、中の様子がよく分かる(写真:日経ホームビルダー)
スリーディー・システムズ・ジャパンのブースで展示していた、福島原発2号機のカットモデル。武藤工業とアイジェットが協力している。色分けされた配管など、中の様子がよく分かる(写真:日経ホームビルダー)
同じくスリーディー・システムズ・ジャパンのブース内で見付けた五重塔のカットモデル。大成建設と武藤工業、アイジェットが協力。心柱の様子も分かる(写真:日経ホームビルダー)
同じくスリーディー・システムズ・ジャパンのブース内で見付けた五重塔のカットモデル。大成建設と武藤工業、アイジェットが協力。心柱の様子も分かる(写真:日経ホームビルダー)

丸紅情報システムズのブースにあった木造戸建て住宅のスケルトンモデル。千葉大学大学院工学研究科 建築・都市科学専攻 平沢研究室が製作。3Dプリンターで部品を一つずつ作成し、現場での施工手順に従って組み上げてツーバイフォー構法を再現したという(写真:日経ホームビルダー)
丸紅情報システムズのブースにあった木造戸建て住宅のスケルトンモデル。千葉大学大学院工学研究科 建築・都市科学専攻 平沢研究室が製作。3Dプリンターで部品を一つずつ作成し、現場での施工手順に従って組み上げてツーバイフォー構法を再現したという(写真:日経ホームビルダー)
同じく平沢研究室が製作したツーバイフォー構法のスケルトンモデル(丸紅情報システムズのブース)。1階部分の束まで再現してあった(写真:日経ホームビルダー)
同じく平沢研究室が製作したツーバイフォー構法のスケルトンモデル(丸紅情報システムズのブース)。1階部分の束まで再現してあった(写真:日経ホームビルダー)