4月23日午前4時20分、浜松市天竜区の茶畑斜面で大規模な崩壊が発生した。静岡県はその約28時間前の21日午後11時50分、住民6世帯24人に対して避難勧告を出し、人的被害を免れた。崩壊を予測していたのだ。

 静岡県の発表によれば、崩壊の規模は、大きさが上幅約80m、下幅約80m、高さ約90m、厚さ約20mで、推定土量は約5万m3。県は「地すべり」と発表しているが、斜面の急な角度や崩壊の状況から、専門的には「斜面崩壊」に近いとみられる。

 時系列でみた崩壊の状況は次のとおり(4月25日午前6時時点。以下は24時間表記)。

4月8日
 住民の亀裂発見を契機に、伸縮計を設置
4月21日
 23時30分:避難レベル観測(11.8mm/時)
 23時50分:避難勧告(6世帯24人)
4月22日
 1時:住民避難(3世帯8人)
 6時:浜松土木事務所が現地調査、影響区間の立ち入り禁止措置
4月23日
 3時:観測値が最大35mm/時に加速、浜松土木事務所天竜支局職員を全員配備
 4時20分:1回目崩落
 4時30分:2回目崩落(河川に崩落土砂が流入し、河川の閉塞を確認)
 4時40分:住民の避難を確認
 6時39分ごろ:3回目崩落
 7時30分:航空偵察開始(オレンジアロー)~8時5分
 9時30分:仮排水路の工事着手
 15時55分:4回目崩落
 16時30分:専門家(土木研究所)による現地調査
4月24日
 0時30分:仮排水路が完成(幅20m、延長200m)
 8時:地質調査ボーリング1本掘削開始
 16時:避難準備情報発令(下流域13世帯32人)
 22時10分:仮排水路で通水(25日3時20分頃まで)

 斜面上部の亀裂の発見を契機に、伸縮計を設置し、観測データをもとに崩壊時期を予測した。地すべりの崩壊時期を予測できたことは過去にもある。