ケンセツ的視点

電気?ガス? 震災後の選択

2011/05/23

東日本大震災
工務店
設計事務所
原子力
電力不安
オール電化
ガス
電気
特集:東日本大震災

 下のグラフは、東日本大震災直前の時点で住み替えやリフォームを計画していた顧客500人にアンケート調査した結果だ。震災後に採用したくなった設備や仕様を尋ねたところ、1位はダントツで太陽光発電システム、そして2位にLED照明、3位に制震・免震システムが続いた。

●震災後、採用したくなった設備を3つ選ぶと…(N=466/選択者数)
アンケート調査の対象は、2011年1月から3月11日の東日本大震災の発生直前までの間で、向こう3年以内に木造戸建て住宅へ住み替え(注文新築、分譲・売り建てもしくは中古の購入)やリフォームの実施を検討中だった500人。調査期間は4月18〜20日で、インターネット調査会社のメディアインタラクティブに依頼した(資料:日経ホームビルダー)
アンケート調査の対象は、2011年1月から3月11日の東日本大震災の発生直前までの間で、向こう3年以内に木造戸建て住宅へ住み替え(注文新築、分譲・売り建てもしくは中古の購入)やリフォームの実施を検討中だった500人。調査期間は4月18〜20日で、インターネット調査会社のメディアインタラクティブに依頼した(資料:日経ホームビルダー)

 東日本大震災は、東京電力福島第1原子力発電所の甚大な事故を引き起こした。同福島第2と東北電力女川原発も地震で停止、中部電力浜岡原発は菅直人首相の要請を受け入れて運転をやめた。

 現在の日本は、燃料供給や価格安定性に優れた原子力発電を電力供給のベースとしている(下図参照)。今回の震災に伴う原発の停止は、被災地のみならず、地震による直接の被害が少なかった広範な地域も“電力不安”に陥れた。電力供給量が大幅に不足する今夏に向けて、政府は東京電力と東北電力の管内で15%の電力削減を目指している。浜岡原発を全面停止した中部電力も管内の企業や家庭に節電を呼び掛けている。

1日の電力需要と発電方式。エネルギー資源の大部分を輸入に頼る日本では、特定のエネルギー源に依存するのではなく、各種電源の特徴を生かしながらバランスよく運用している。現在は、燃料供給および価格安定性に優れた原子力発電をベース電源とし、火力や揚水式などの水力発電で需要の変化に対応している(資料:電気事業連合会「原子力・エネルギー図面集2011」)
1日の電力需要と発電方式。エネルギー資源の大部分を輸入に頼る日本では、特定のエネルギー源に依存するのではなく、各種電源の特徴を生かしながらバランスよく運用している。現在は、燃料供給および価格安定性に優れた原子力発電をベース電源とし、火力や揚水式などの水力発電で需要の変化に対応している(資料:電気事業連合会「原子力・エネルギー図面集2011」)

 電力不安に対する自衛策として、電気を自給できる太陽光発電システムにがぜん注目が集まるのは当然だろう。LED照明や高気密・高断熱仕様、風力発電なども、限られたエネルギーを効率よく使って快適に生活するためには欠かせないアイテムだ。

 4位にはオール電化が入った。災害時は電気だけでなくガスも使えなくなる。最近のガス設備機器は電気がなければ使えないものも多い。さらにインフラ設備の構造上、電気は復旧が早いことから、電気のほうがガスよりも災害リスクは低いと考える人もいるようだ。

 ただ、熱源を電気のみに頼る状況を不安視する声は、工務店や設計事務所などの住宅供給者、建て主ともに聞こえてくる。また、震災後の電力不安に対するマイナスイメージから、「オール電化=悪」の図式がわかりやすく、なんとなくオール電化を採用しにくい雰囲気になっているようにも感じる。

 大容量の供給電力を担う原発は今、存続が岐路に立たされている。原発の停止が長引いてベース電力の少ない状態が続けば、余剰電力を安価に売っていた深夜電力割引はいずれ見直されるかもしれない。そうなるとオール電化のお得感が色あせ、採用するメリットは見出しにくくなる。

 これらを考えると、オール電化への逆風はこれからが本番だと思う。国策として原発を推進し続けるのか、あるいは原発の代替として太陽光や風力など自然エネルギーの発電比率を一気に引き上げるのか――。日本のエネルギー政策がはっきりするまでは、家づくりを手がける工務店や設計事務所は熱源選択の舵取りが難しくなりそうだ。

小原隆日経ホームビルダー

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読者のコメント (4 件)  ※[ログイン]すると全文表示、投稿・投票ができます
電気屋なので東北大震災前から知人に相談されますが、「オール電化はやめなさい」と言ってきたクチです。限られた財布の紐を考えるのは判りますが、震災前の状況下、コスト目当ての人に「コストが本当に良いのなら、なぜ居酒屋が導入しないのか?」と私が問うことに、屁理屈でも回答できない人は導入すべきでないと考えます。◆太陽光発電は、東北大震災直後に「被災した家では、触らないように」とニュース番組等で報道されていたことはご存じでしょうか。仕組み上、素子自体が損壊しない限り受光すれば発電するのですから、設置枠が壊れれば感電リスクはあります。売電も地域が停電している際には当然逆送できませんので、晴天日中の自宅補助電源と割り切る気が無い人には勧められないです。
(none 2011/06/06 13:21)

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1位がダントツで太陽光発電システムであるというのは、現太陽光発電システムの弱点を知らない人が多いからだと推測する。
既に導入しているか、あるいは検討していた人は、停電時に太陽光発電は、売電どころか自家発電装置としても満足に使えない(補助電源としてしか使えない)事が、今回の停電によって痛感した人も多いのではないだろうか。
また、4位がオール電化というのが不思議でならない。震災前まではオール電化が1位だったのであろうか?!
(2011/05/26 21:51)

 このコメントが 参考になった:9 参考にならなかった: 0
実際停電になったとき、自宅で太陽光発電した電気を自宅で使えるんでしょうか?蓄電設備も備えないと不安定で使えないような気もするのですが。
(ebisu 2011/05/25 10:17)

 このコメントが 参考になった:3 参考にならなかった:1
プロパンガスと都市ガスの併用可能な器具というのは難しいのだろうか??
(2011/05/23 14:43)

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