若手設計者
目次
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映画上映を通し都市の明るさを問う、照明の岡安泉氏ら
「ザ・シティ・ダーク」の公開を前に山梨知彦氏と対談
2011年3月11日の東日本大震災をきっかけに、照明デザイナーの岡安泉氏をはじめとする有志が立ち上げたエッセンシャルライト ジャパン プロジェクト。同団体が主催して「ザ・シティ・ダーク」という米国の映画を8月11日から1週間、東京・渋谷のイベントスペースで上映する。都市の照明について多角的な視点で捉…
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単身者用アパートの新たな解法を示す
渡辺節賞受賞のSPACESPACE・香川貴範氏に聞く
大阪建築コンクールの新人賞として30年以上の歴史を持つ渡辺節賞。今年の同コンクールで渡辺節賞に輝いたのは、ともに坂倉建築研究所出身の香川貴範氏と岸上純子氏だ。受賞作となった単身者用アパートは、幅2mの住戸がカーブを描いて連なる。どのような過程でこうした特徴あるプランが生まれたのか。香川氏に聞いた。
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木質構造の法政大チームに軍配、平成建設の実施コンペ
静岡県沼津市に本社を構える平成建設の主催による「第一回 平成建設学生設計提案競技」。実施を前提とした同コンペで最優秀賞に輝いたのは法政大学の大学院生3人によるチーム。6月9日に東京・六本木の東京ミッドタウンで公開プレゼンテーションを実施し、入賞者が決定した。
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死の直前まで描き続けた伊丹潤氏の「手の痕跡」
東京・乃木坂のTOTOギャラリー・間で開催中の伊丹潤展「手の痕跡」の会期が、残り1カ月を切った。2011年に74歳で急逝した建築家の伊丹氏は1998年頃から、韓国で精力的に設計活動に取り組んだ。「最後の手の建築家」と自称し、死ぬ直前までスケッチを描き続けていたという。
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社会問題から建築家像を探るメジロスタジオ、注目の10人(10)
「郊外」に着目する
郊外をフィールドに、新築や再生建築の設計を次々と手掛け、地域を活性化するプロジェクトにも積極的に参加する。設立10年目を迎えるメジロスタジオは、社会問題に切り込むことで活動の幅を広げ、新しい建築家像を模索してきた。そのアプローチは、同世代の若手建築家とも一線を画す。
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実施前提の学生コンペで建築家を育成、沼津の平成建設
一風変わった設計コンペが進行中だ。大卒の社員を職人に育成することで有名な平成建設(本社:静岡県沼津市)が、世田谷支店を開設するに当たり、実施を前提に学生から設計案を募るコンペを実施。4月中旬には一次審査を通過した学生を対象に、本社で審査員がエスキスを行った。
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リノベーションを団地へ拡大する馬場正尊氏、注目の10人(9)
「郊外」に着目する
東京R不動産の創設者として知られる馬場正尊氏は、現代建築のリノベーションを語る上では欠くことのできない存在である。都心のリノベーションを、2000年代に入ってより一般的な概念として広め、設計を通じてノウハウを積んできた。最近、取り組むのが団地のリノベーションだ。
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攻めの設備設計で環境を追求する中川浩明氏、注目の10人(8)
技術力でデザインを支援
建築設計に合わせて空調方式や機器の納まりを検討する――。竹中工務店の中川浩明氏は、こんな従来のイメージを覆す攻めの姿勢の設備設計者だ。計画段階から建築設計者などと打ち合わせを重ねる。国際コンペなどにも参加し、これまでにない仕組みの実現を常に目指している。
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慎重かつ大胆に建築構造を解く朝川剛氏、注目の10人(7)
技術力でデザインを支援
2010年度、日本建築家協会賞受賞の「木材会館」。11年度、日本建築大賞受賞の「ホキ美術館」。日建設計によるこの2作品は、いずれも意匠設計の山梨知彦チームと構造設計の向野聡彦チームが組んで設計したものだ。向野氏の下で、両作品の構造設計を担当していたのが朝川剛氏である。
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居室のコアに巻き付く廊下、大西麻貴氏に聞く
二重螺旋の家/設計:大西麻貴+百田有希/o+h
大学院時代にSDレビューの鹿島賞を受賞するなど、早くから注目されていた大西麻貴氏と百田有希氏。住宅としては初となる実作が昨年、完成した。東京の下町の狭小敷地に建ち、路地がそのまま建物の周囲に巻き付いて廊下として上っていくような構成だ。設計意図を大西氏に聞いた。
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先進的な建築を陰で支える小野田泰明氏、注目の10人(6)
建築計画から切り込む
東日本大震災の復興に向けて自治体を支援、建築家による復興支援ネットワーク「アーキエイド」でも、活動を先導してきた。小野田泰明氏は東北大学で教壇に立つ一方、建築計画者として設計の川上を担っている。「せんだいメディアテーク」のコンペで設計要件を詰めたのも小野田氏だ。
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家のウチソトを混ぜるS字動線、平田晃久氏に聞く
Coil/設計:平田晃久建築設計事務所
S字を描いて続く階段。その合間に居室を配したような空間構成がこの住宅の最大の特徴だ。3本の柱に巻き付くように、階段と床が連なり、カーブの向こう側には、「見えない部分」ができる。その「見えなさ加減」が、居心地の良さをつくり出す。平田晃久氏に設計意図を聞いた。
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ネットワーク力で復興に貢献する大月敏雄氏、注目の10人(5)
建築計画から切り込む
東日本大震災を受け、被災地により良い仮設住宅を届けようと、数多くの建築関係者が提案を行った。しかし実現への道のりは極めて厳しく、嘆く声は少なくない。そんななか、岩手県の遠野市と釜石市に実現した「コミュニティケア型仮設住宅」の原動力となったのが、東京大学大学院准教授で建築計画学者の大月敏雄氏だ。
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世界に誇るアジアの建築めざす早野洋介氏、注目の10人(4)
海外と通じる
この4月、早野洋介氏は中国・北京に戻った。かつて馬岩松氏と2人で設計事務所「MAD」を立ち上げた地で、再び腰を据えて設計活動を始めるためだ。早野氏の日本での経験を加えて、世界に誇れるアジアの建築を追求していく。
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省エネ住宅の普及に奔走する森みわ氏、注目の10人(3)
海外と通じる
大学院時代にドイツに渡り、そのままドイツ、アイルランドの設計事務所を渡り歩き、ドイツ生まれの省エネ住宅「パッシブハウス」を体得した。2009年に日本に戻って、日本に根差したパッシブハウスの普及に奔走する。賃貸の自宅を大規模改修、これからの暮らし方も身を持って示す。
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建て主の喜びを最大化する長谷川豪氏、注目の10人(2)
モノづくりと向き合う
実際の建築物を展覧会場に組み立て、東日本大震災の被災地へ会期後に移築する。こんな試みで話題を供してくれた長谷川豪氏。建築家として独立して7年。個性を前面に出した作風を持たない住宅の設計には、毎回違った味がある。場所の特性を引き出し、建て主の喜びを最大化する。
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女子学生のみによる卒業設計展、会場は結婚式場
デザイン女子No.1決定戦 2012NAGOYA
「せんだいデザインリーグ 卒業設計日本一決定戦」をはじめ、建築系学生の卒業設計展が花盛りだ。そんななか、またひとつ新たな卒業設計展が名古屋で始まった。「デザイン女子No.1決定戦」は、参加資格を女子学生に限定したユニークなイベントだ。3月23日に名古屋市内の結婚式場で実施された公開審査の様子をルポし…
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真摯な姿勢で機会をつかむ乾久美子氏、注目の10人(1)
モノづくりと向き合う
建築設計から、構造設計や設備設計、まちづくりなどの分野まで見渡して、ここ1年で頭角を現した人物、活動がこれまで以上に注目される人物を、若手中心に10組選んだ。最初は建築家の乾久美子氏だ。ルイ・ヴィトンなどの商業施設や集合住宅の設計で既に知られる乾氏だが、2011年以降の活躍は特筆に価する。
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伊東豊雄氏が建築教育や復興計画に挑んだ1年(後編)
東北での設計に可能性を見いだす
伊東豊雄氏は、東日本大震災の被災地の住民との会話を通して、東北には建築家がやるべきことがあるのがはっきりしたという。半面、この機会を逃したら取り返しがつかなくなるかもしれない、と焦りも感じている。
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伊東豊雄氏が建築教育や復興計画に挑んだ1年(前編)
2年目を迎える伊東建築塾
建築家の伊東豊雄氏による「伊東建築塾」が2年目を迎える。2011年5月の開講直前に起こった東日本大震災で、若手建築家の育成講座については、急きょプログラムを変更。岩手県釜石市の復興計画に塾生と取り組んだ。伊東氏にこの1年を振り返ってもらった。