ケンセツ的視点

両手に抱えきれないくらいの――ソーシャルキャピタルという財産

2011/03/17

東日本巨大地震
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ソーシャルキャピタル
特集:東日本大震災

東日本巨大地震から一夜明けた3月12日の午前9時すぎ。品川駅近くの国道15号の様子。前日の夜をオフィスなどで明かした帰宅難民が取り乱した様子もなく整然と歩く(撮影:渋谷和久)

 東日本巨大地震から7日目を迎え、不安と疲れが色濃く漂っている。建設分野には直接は関係のない話かもしれないがご容赦いただきたい。

 関東で被災したある人の話。被災した状況を少しだけブログに書いたら、【信じられないくらいいっぱい返信が来た】。「カセットコンロある?」「電池だいじょうぶ?」「パン、送ろうか?」

 別の人の話。ツイッターで「電池が足りない」とつぶやいたら、一度しか会ったことのない知人から翌日、宅配便で乾電池が届いた。誰かが反応してくれる。【そんな言葉を見るだけでホッとする】

 テレビで専門家が「PTSDを防ぐためには声をかけあうことが大事」と強調していた。「何か必要なものはない?」「困っていることはない?」「もうすぐ落ち着く、大丈夫」。

 また別の人の話。震災から4日目の月曜朝のJR駅。1時間待ちを苦にせず、ディズニーランドのアトラクションを待つように整然と4列で並ぶ人たちを見て思った。【これなら日本はまだ大丈夫。きっと立ち直れる】

 複数の海外メディアがたたえている。【日本が誇るべきソーシャルキャピタル】。冷静さ、規律正しさ、そして助け合いの心――。ツイッターなどのソーシャルメディア上では海外メディアが報道したという以下の言葉が繰り返し流されている。「有史以来最悪の地震が、世界で一番準備され訓練された国を襲った。犠牲は出たが他の国ではこんな正しい行動はとれないだろう。日本人は文化的に感情を抑制する力に優れている」。

 一方で水やレトルト食品、牛乳などがスーパーやコンビニエンスストアの陳列棚から消えている。遠くへ買い物に行けないお年寄りに不安が広がる。店頭に品物が見当たらないと、不安心理がさらに高まり、悪循環に飲み込まれる。

 最も避けなければならないのは身体的にも精神的にも無理をすることだが、そのうえで言いたい。パンや電池やトイレットペーパーの代わりに、今回の震災に直面して改めて明らかになった日本人の財産、この【誇り】や【自信】を両手いっぱいに抱え持ってはどうか。そして少しだけ顔を上げて、ゆっくりとでいいから視線を前に向けよう。

安達 功日経ホームビルダー

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