これは恐ろしい未来だと感じた。昨年末に国土交通省の国土計画局が公開した2050年の日本の国土についての予測データである。

 「国土の長期展望に向けた検討の方向性について」と題された資料は、2050年には日本の国土の6割以上の地点で現在の半分以下に人口が減少し、21.6%は無居住化、つまり人が住んでいない状態になると予測する。

 日本の総人口は2004年をピークに今後100年間で100年前(明治時代後半)の水準に戻っていく。2050年の人口は9515万人、2005年から約3300万人、25.5%の人口減になるという。

 資料は、全国的な人口減少率を超えるペースで人口の減る地域が増えることを「地図」で示す。全国を「1km2ごと」に色分けした地図では、人口増を示す「赤色」の部分は東京圏と名古屋圏を中心にほんのわずか。大部分が人口減を示す寒色系に塗られている。

 人口が半分以下になる地点は現在の居住地域の6割以上を占め、居住地域の21.6%が「無居住化」を示す色に塗り分けられている。都市圏レベルでみても、多くの圏域で人口が大きく減少し、都市の約2割は人口が半分以下になる。

 2050年はわずか40年後だ。2011年に産声を上げた新生児はその頃、住宅を取得する適齢期に差し掛かる。一方で2011年に新築された長期優良住宅は築40年弱。まだまだ現役で十分に活躍できる築年数、のはずである。

 日本の居住地の近未来と長寿命住宅を重ね合わせると、子供たちが去り、無人と化した地に建つ住宅の姿が浮かんでしまう。

 何を建てるかではなく、どこに建てるか。さらに言えば建てた地域をいかに維持していくか──こんな命題が住宅の実務者にとってじわじわと、確実に重みを増していく。