コンテンツ | ページ数 | 価格 | ファイル |
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甦る11棟のマンション 前書き・目次 | 3 | - | [無料PDF] |
甦る11棟のマンション 第1部 阪神間のマンションに何が起きたのか | 26 | 本体500円+税 | [会員限定無料PDF] |
甦る11棟のマンション 第2部 甦る11棟の記録(渦森団地14号館) | 18 | 本体400円+税 | |
甦る11棟のマンション 第2部 グリーンハイツ住吉ほか(グリーンハイツ住吉、御影メイト、ルネ門戸) | 30 | 本体600円+税 | |
甦る11棟のマンション 第2部 甲南コーポラスほか(甲南コーポラス、神陵台東住宅53号棟、グランシティ三宮<旧雲井ビル>) | 24 | 本体500円+税 | |
甦る11棟のマンション 第2部 クラスタ中山ほか(クラスタ中山<旧コボリクラスタ中山寺>、リファインハイツ宝塚花屋敷) | 22 | 本体500円+税 | |
甦る11棟のマンション 第2部 芦屋第8コーポラスほか(芦屋第8コーポラス、芦屋川アーバンライフ) | 36 | 本体700円+税 | |
甦る11棟のマンション 第3部 今後に向けたプロの提言 | 30 | 本体600円+税 | |
甦る11棟のマンション これだけは知っておきたい60のキーワードほか | 18 | 本体400円+税 |
このコンテンツは、1997年に発行した日経アーキテクチュアの書籍「甦る11棟のマンション」を、章単位のPDFファイルで復刻したものです(ケンプラッツ・デジタルライブラリー)。第1部の抜粋をこのページの末尾に掲載しています。
ケンプラッツ・プレミアム会員に限定して、追加料金なしでご覧いただけるページを用意しました。おおむね週に1度の割合で順に公開していき、第1部以外はそれぞれ1カ月間掲載します。[こちら]をご覧ください。
ケンプラッツ・デジタルライブラリーについての詳細は[こちら]をご覧ください。
編集:日経アーキテクチュア
体裁:A4変形判・208ページ
ISBN:4-8222-0423-5
発行日:1997年1月17日
※紙の書籍としては販売を終了しています。
取り上げたマンション:渦森団地14号館、グリーンハイツ住吉、御影メイト、ルネ門戸、甲南コーポラス、神陵台東住宅53号棟、グランシティ三宮(旧雲井ビル)、クラスタ中山(旧コボリクラスタ中山寺)、リファインハイツ宝塚花屋敷、芦屋第8コーポラス、芦屋川アーバンライフ
「第1部 阪神間のマンションに何が起きたのか」から
どんなマンションが被害を受けたのか
阪神大震災ではマンションが「壊れる」という、予想していなかった事態が起こった。被害のグレードについては、「全壊」、「大破」、「全部滅失」など、様々な基準に従った分類がなされている。ただ、その「壊れ方」には一定のパターンが見られる。
下層階がピロティ(駐車場) や、店舗で壁の少ないマンションでは、1、2階部分で圧壊が起こったケースが多い。これに比べ、住戸だけが「板状」ないし「塔状」に配されたマンションでは被害が少なかった。中高層のマンションでは、中間階が圧壊するという過去にあまり例のない被害が続出した。
「L字型」「コの字型」のマンションでの被害も特徴的だ。これは、個々の板状の建物がそれぞれ異なった固有振動周期を持ち、各部がぶつかりあったためだ。被害を軽減するために構造を切っているエキスパンション・ジョイントが壊れた例、それが機能せず大きな被害につながった例が見られた。
地上部分は無事だったのに、マンションを支える基礎、杭が被害を受け、傾くマンションもあった。
合意形成抜きに進まぬ復興、震災後1年半で明暗分かれる
なぜ、阪神大震災で被害を受けたあまたの建物のうち、分譲マンションがクローズアップされるのか。被災マンション復興の全体状況と復興で生じる基本的問題について、マンション研究の第一人者で阪神大震災マンション復興問題特別研究委員会の委員長を務める梶浦恒男大阪市立大学教授が解説する。
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1995年1月17日に起こった阪神大震災は、これまでにない建物被害と多くの人的被害をもたらした。分譲マンションの被害は他の住宅タイプに比べて相対的には少なかったが、その複雑な所有関係のため、復興過程で様々な問題が浮上してきた。
被災マンションの復興は簡単には進まない。共用部分をもち、区分所有者の合意形成ができなければ建て替えも補修もできない分譲マンションという住居形態は、例えて言えば、二人三脚のように、区分所有者が互いに足を結ばれながら歩んでいかざるを得ない集団のようなものである。
100棟超のマンションが建て替えに
どの程度のマンションが震災で目立った被害を受けたのか。それらの被災状況を確かめてみた。われわれの研究グループでは、調査に当たって構造材の部分が破壊されたりしたものを「大被害」と定義し、構造材の被害が少ない「中被害」と区別した。
「大被害」マンション122件(1物件はほとんど1棟と考えてよい)の被害タイプをみると、 RC造やSRC造の1階、ピロティ、または地階の柱、梁、耐震壁など構造材が崩壊したものが最も多く見られる。次に多いのは、中間階の柱、梁、耐震壁など構造材が崩壊しているもの、建物の傾斜や沈下から、基礎部分の損傷が予想されるものである。数は少ないが、鉄骨造で、柱、梁など構造材が変形したものも見られる。
被害状況には竣工年度によってかなりはっきりした傾向が見られた。建築基準法施行令の改正される前の71年以前に竣工したものは被害が大きく、ついで72年から新耐震基準が施行された81年までのものに被害がみられ、82年以後のものは最も被害が少なくなっている。
復興状況を見ると、「大被害」マンションがすべて建て替えられるとは必ずしも言えない。「大被害」のうち「大規模な補修」で復旧する方針を決めたものは22棟見られた。また、「中被害」マンションでも、事情によって建て替えを選択するものもある。95年9月時点では7棟が「建て替え」の方針を決めていたし、合計20棟が解体されていた。「大被害」と「中被害」を合わせて、建て替えに向かう被災マンションは全部で100棟を超えると予測される。