民間資金活用が目的だから国費投入は認めがたい

 ただし、独立採算型のPFI事業は国内での事例が乏しい。一般に収入は有料道路なら「利用者数×料金」、ハコモノなら「賃貸面積×単価」が基本となる。利用者数や賃貸面積は経済情勢や料金設定、競合施設などによって変動する。事例の乏しい分野は、収入の見通しや運用に必要な費用が見積もりにくい。すると、リスクが大きいと見なされ、資金の出し手が躊躇(ちゅうちょ)するおそれがある。国が事業創成の一翼を担えば、未知の事業に対する市場の不安もやわらぐ。152億円は、そんな意味をもつ要望だった。

 ところが評価会議では、国がカネを出すことの意味を理解してもらえなかった。評価者と要望者が向き合った11月13日の公開ヒアリングの席では、評価者から「いうまでもなくPFIは民間資金活用が目的であって、そのファンドの形成に152億円もの国費を投入するのは認めがたい」という厳しい意見が出た。

 その結果の「D判定」だ。内閣府は評価会議での議論を踏まえ、一般会計ではなく財投資金での事業推進を検討することになるが、具体のプロジェクトの立ち上がりに遅れが出ることは否めない。

 とはいえ、これが新たなPFI事業の決定的な障害になるというわけではなさそうだ。そもそも重要なのはプロジェクトの中身である。年金基金などの投資家は、安定した投資先を求めている。法的な整備はもちろん必要だが、長期にわたってそこそこの収益が見込めるインフラ事業であれば、参加者は集まる。どんなプロジェクトを選抜できるかに成否がかかっている。

 蓮舫大臣のコメントの続き(要旨)は以下の通りだ。

 「来年の通常国会に向けて、PFI法改正の準備を鋭意、進めている。雇用を生み出す“新しい公共”は最優先課題だと思う。そのときにPFIの果たす役割は決して小さくない」