2011年度予算の「元気な日本復活特別枠」に内閣府が要望した民間資金等活用(PFI)事業支援の152億円が、優先順位をつける政府の評価会議でD判定を受けた。評価はA~Dの4段階。Dは「事業の内容での評価が困難」という最低ランクだ。予算が認められる可能性は極めて低い。12月7日の内閣府の記者会見で判定結果について問われた内閣府特命担当(行政刷新)の蓮舫大臣は、「正直、私としてもショックであります・・・」と語った。

 6月に閣議決定された政府の新成長戦略に盛り込まれたPFI事業だ。その推進のために要望した費用が「優先順位が低い」と判定され、内閣府の関係者は戸惑っている。

 内閣府の資料によれば、152億円は約1500億円規模のPFI事業を立ち上げることを目的としたものだ。約2900億円の生産誘発と約2万1000人の雇用創出を見込み、国や自治体などの新規投資が約1200億円減ると想定している。

 この事業の「呼び水」として考案したのが、450億円規模の官民連携インフラファンド(基金)だ。官民の出資割合は1:2。つまり152億円は官の出資分である。このファンドは、PFI事業に絡んで出資や融資、債務保証などの機能を果たす。インフラを投資対象とする市場が形成されるまでのつなぎの措置であり、市場が立ち上がった後は解散する計画だ。

官民連携インフラファンドのしくみ(資料:内閣府)
官民連携インフラファンドのしくみ(資料:内閣府)

 経緯を補足すると、PFI事業は財政難のなかで必要な社会資本を整備するための手段として脚光を浴びた。新成長戦略では、経済成長への貢献度が特に高い21の国家戦略プロジェクトの一つに選ばれた。ハコモノだけでなくインフラに幅を広げ、コンセッション方式(施設の所有権は移転せずに運用権を民間事業者に付与する方式)の導入などによって民間開放をさらに進める点が、従来のPFIとの大きな違いだ。「2020年までの11年間で、少なくとも10兆円以上」という金額目標も示された。

 新たなPFIの狙いは、利用者から料金を徴収して運用する“独立採算型”の事業を多数、生み出すことにある。従来は、国や自治体がサービスの対価を払う“サービス購入型”のPFIが主体だったが、財政難のなかで公共の支出を伴う手法は現実的ではないので、独立採算型を拡大していくことになった。