結露を招く可能性も


 まず、パネルのサイズや架台のピッチが、既存の垂木や屋根材のピッチに合わない場合があることだ。

 設置会社に施工ノウハウを教えているフォトボルテック(大阪府茨木市)社長の西島貞夫氏は「モジュールがそろっていないため、垂木に固定できないことや、屋根材の弱い部分にビスを打たざるを得ないことが少なくない」と話す。

 西島さんは、「世界市場を視野に入れて製品開発しているパネルメーカーに尺寸法を求めるより、屋根材の寸法を見直したほうが合理的な解決だろう」と話す。

 次に、パネルの取り付けビスが防水シートを多数貫通することで、防水シートの止水性能を低下させる恐れがあることだ。

 太陽光発電パネルと雨仕舞いに詳しい平野工業(さいたま市)の平野光男氏は、「パネルメーカーが定めている施工方法は、ビスと金具まわりの止水だけがほとんど。防水シートのことは考えていない。本来は、ルーフィングの仕様から見直す必要がある」と訴える。

 さらに平野さんは、雨漏りだけでなく結露のリスクも指摘する。「野地板を貫通するビスが結露していることはよくある。結露は野地板だけでなく断熱材も劣化させる恐れがあるので、断熱材の施工方法も検討する必要がある」(平野さん)

 こうした問題は、太陽光発電パネルを単なる後付け設備ととらえるのではなく、屋根に載せる前提でパネルを住宅と一体的に考えないと解決が難しい。

 これこそ、住宅会社や屋根工事会社が得意とする分野だ。

 省エネルギーの旗振り役である太陽光発電パネルが、住宅の長寿命を邪魔することにならないよう、パネルメーカーと住宅会社、屋根工事会社、屋根仕上げ材メーカー、下地材メーカーが一つのテーブルに着いて、太陽光発電パネルと屋根材や下地材、ディテールなどを一から考える取り組みを期待する。