企画力が試される

 さらに、同社はテーマ型PAだけでなく、「Pasar(パサール)」と呼ぶPAの新業態も08年から展開している。高速道路初進出の店舗や地域の特徴ある商品を扱う店舗など複数のテナント同士を競わせて、集客増を狙う。

 例えば09年11月、埼玉県羽生市にある東北道下り線の羽生PAにオープンした「Pasar羽生」。「洗練された粋な和風モダン」をコンセプトに空間を演出し、和スイーツを提供するカフェなどが入る。ラスアソシエイツ(東京都渋谷区)が総合プロデュースを、橋本夕紀夫デザインスタジオ(東京都渋谷区)が意匠設計をそれぞれ手掛けた。こちらも売り上げは倍増しているという。

2009年11月にオープンしたPasar羽生の外観パース。施工は三井住友建設(資料:ラスアソシエイツ)
2009年11月にオープンしたPasar羽生の外観パース。施工は三井住友建設(資料:ラスアソシエイツ)

 星の王子さまPAやPasar羽生の事例は、規模が比較的小さいPAでも、企画次第で商業の一等地となり得る可能性を示している。例えば、星の王子さまPAの建物の延べ面積は342m2しかない。東日本高速道路会社の取り組みは、ほかの高速道路会社だけでなく国や自治体にも参考となりそうだ。

 ただし、SAやPAで集客するためには、テーマ化やブランド化が重要となる。そのため、施設の建設費やライセンス料などの開発コストが掛かる。東日本高速道路会社は具体的な投資額を明らかにしていないが、星の王子さまPAでは回収期間を17年程度と見込んでいる。

 この間、テーマの変更や施設の安易な改修は難しい。設計事務所や建設会社にとっても、企画力が試される機会が増えるに違いない。