「星の王子さま」で売り上げ2倍に
高速道路のSAやPAを画一的な休憩施設から個性的な集客施設に変える――。こうした試みが各地で始まっている。
埼玉県深谷市の関越道上り線にある寄居PAもその一つ。開業から約30年が経過した従来のPAを改修して10年6月、「寄居 星の王子さまPA」としてオープンした。同PAを管理する東日本高速道路会社は、「日本初のテーマ型PA」だとうたっている。
小説「星の王子さま」の世界観は非日常の癒やし。長野や軽井沢、新潟などから東京方面に向かうドライバーや観光客が、移動の緊張感から解放されるようなPAを目指す。
PA内は「星の王子さま」の著者サン・テグジュペリにゆかりのある南仏プロバンス地方の町並みを再現。建物にはプロバンス瓦のほか、テラコッタタイルや塗り壁、石積み壁などを使った。グラフィクスアンドデザイニング(東京都港区)が意匠設計を手掛け、乃村工芸社が施工した。
さらに、東日本高速道路会社はテナントにもこだわった。国内で「星の王子さま」関連の商品企画や販売を手掛けるセラム(東京都港区)がテナントの営業を担当。「星の王子さま」の雑貨を扱うショップやプロバンス地方の家庭料理を提供するレストランなどを展開している。
同PA付近の関越道の交通量は、1日当たり約3万4000台。東日本高速道路会社によると、同PAのオープンから半月間の売上高は、改修前の2倍強に伸びたという。