「星の王子さま」で売り上げ2倍に

「寄居 星の王子さまPA」の建物外観。写真中央が「星の王子さま」の雑貨を扱うショップ(写真:日経アーキテクチュア)
「寄居 星の王子さまPA」の建物外観。写真中央が「星の王子さま」の雑貨を扱うショップ(写真:日経アーキテクチュア)
小説「星の王子さま」に出てくるメッセージがフランス語であちこちに書かれている。例えば、写真中央の壁面に「砂漠が美しいのは、どこかに井戸を隠しているからだよ」。壁の裏側には飲み物の自動販売機がある(写真:日経アーキテクチュア)
小説「星の王子さま」に出てくるメッセージがフランス語であちこちに書かれている。例えば、写真中央の壁面に「砂漠が美しいのは、どこかに井戸を隠しているからだよ」。壁の裏側には飲み物の自動販売機がある(写真:日経アーキテクチュア)
サテリットと呼ぶ屋外店舗が並ぶエリア。パンやソフトクリームなどを販売しており、テラス席で食べられる(写真:日経アーキテクチュア)
サテリットと呼ぶ屋外店舗が並ぶエリア。パンやソフトクリームなどを販売しており、テラス席で食べられる(写真:日経アーキテクチュア)
パン店には自家製のサンドイッチなどが並ぶ(写真:日経アーキテクチュア)
パン店には自家製のサンドイッチなどが並ぶ(写真:日経アーキテクチュア)
バラ園にある星の王子さまの像。大勢にカメラを向けられ、人気者になっていた(写真:日経アーキテクチュア)
バラ園にある星の王子さまの像。大勢にカメラを向けられ、人気者になっていた(写真:日経アーキテクチュア)
PA内の散策路。写真左の小屋はごみの集積場。壁面には「面倒くさいけど、なんてことはない」と書かれている(写真:日経アーキテクチュア)
PA内の散策路。写真左の小屋はごみの集積場。壁面には「面倒くさいけど、なんてことはない」と書かれている(写真:日経アーキテクチュア)
散策路を進むと、草花や木立に囲まれた空間がある。一番奥には喫煙スペースも(写真:日経アーキテクチュア)
散策路を進むと、草花や木立に囲まれた空間がある。一番奥には喫煙スペースも(写真:日経アーキテクチュア)

 高速道路のSAやPAを画一的な休憩施設から個性的な集客施設に変える――。こうした試みが各地で始まっている。

 埼玉県深谷市の関越道上り線にある寄居PAもその一つ。開業から約30年が経過した従来のPAを改修して10年6月、「寄居 星の王子さまPA」としてオープンした。同PAを管理する東日本高速道路会社は、「日本初のテーマ型PA」だとうたっている。

 小説「星の王子さま」の世界観は非日常の癒やし。長野や軽井沢、新潟などから東京方面に向かうドライバーや観光客が、移動の緊張感から解放されるようなPAを目指す。

 PA内は「星の王子さま」の著者サン・テグジュペリにゆかりのある南仏プロバンス地方の町並みを再現。建物にはプロバンス瓦のほか、テラコッタタイルや塗り壁、石積み壁などを使った。グラフィクスアンドデザイニング(東京都港区)が意匠設計を手掛け、乃村工芸社が施工した。

 さらに、東日本高速道路会社はテナントにもこだわった。国内で「星の王子さま」関連の商品企画や販売を手掛けるセラム(東京都港区)がテナントの営業を担当。「星の王子さま」の雑貨を扱うショップやプロバンス地方の家庭料理を提供するレストランなどを展開している。

 同PA付近の関越道の交通量は、1日当たり約3万4000台。東日本高速道路会社によると、同PAのオープンから半月間の売上高は、改修前の2倍強に伸びたという。