乗り換えを便利にできるか

都営新宿線九段下駅新宿方面ホームに設置された非常口。ドアの向こう側は半蔵門線押上方面ホームだ。ドア付近では半蔵門線ホームの発車ベルや電車の走行音が聞こえる (写真:ケンプラッツ)
都営新宿線九段下駅新宿方面ホームに設置された非常口。ドアの向こう側は半蔵門線押上方面ホームだ。ドア付近では半蔵門線ホームの発車ベルや電車の走行音が聞こえる (写真:ケンプラッツ)

 同一の駅でも東京メトロと都営地下鉄で改札が分かれているなど、現状の両者には物理的な障壁もある。象徴的なのが九段下駅だ。猪瀬直樹副知事が6月17日に視察している。

 九段下駅で両者を隔てるのは、一枚の壁だ。東京メトロ半蔵門線と都営地下鉄新宿線が同一平面上で並走しており、半蔵門線の押上方面ホームと新宿線の新宿方面ホームは、4カ所にある非常出口のドアを開けると行き来できる。もし壁を撤去すれば乗り換えがスムーズになるはずだが、現状ではホーム上階にある2つの改札を通る必要がある。

 2つの改札は同一階にあるので、比較的容易につなげられる。改札をなくせば半蔵門線の渋谷方面ホームから新宿線への乗り換えも便利になる。

 九段下駅の隣にある市ケ谷駅の場合は、乗り換え専用改札がある。これを撤去するだけでも動線がスムーズになる。短絡路を整備するなどして便利にできる駅も数多く出てくる。

 運用上の課題もある。例えば7月23日までは、早朝の浅草駅や日本橋駅で一部通路のシャッターが閉まっていたことから、両地下鉄を乗り継ぐのが不便だった。猪瀬副知事が東京メトロの株主総会の場で指摘し、改善に至った。

 東京の地下鉄は、乗り換えが不便と言われている。後から建設した路線ほど地下深くにホームが設けられており、乗り換えの動線が長くなってしまっている。同一ホーム上で乗り換えが可能なのは、赤坂見附駅や表参道駅などごく一部に限られる。

 駅の利便性については、構造と運用の両面から改善を続けることが必要だろう。