運賃は安い方に合わせられるか

東京メトロと都営地下鉄の路線図 (資料:東京都交通局)
東京メトロと都営地下鉄の路線図 (資料:東京都交通局)
東京メトロと都営地下鉄の運賃を距離別で比較。都営地下鉄の運賃は東京メトロに比べて10~110円(6~37%)高い (資料:公表資料を基にケンプラッツが作成)
東京メトロと都営地下鉄の運賃を距離別で比較。都営地下鉄の運賃は東京メトロに比べて10~110円(6~37%)高い (資料:公表資料を基にケンプラッツが作成)

 利用者にとって、事業主体が2つに分かれている最大の弊害は運賃だ。2つの地下鉄を乗り継ぐと割高になる。

 例えば、日本橋駅から新宿駅に行く場合の運賃を比較してみる。東京メトロ銀座線に乗って赤坂見附で同丸ノ内線に乗り換えた場合は190円だ。これに対し、東京メトロ東西線に乗って九段下駅で都営新宿線に乗り換えた場合は260円と、70円高い。これさえも本来なら330円(実際の経路にかかわらず最安で計算)であるところが、70円の乗り継ぎ割引が適用されている。

 乗り継ぎが運賃に響くケースはほかにもある。都営新宿線と相互乗り入れする京王新線の接続駅である新宿駅は、ホームが地下5階と深い位置にあり、他線との乗り換えに時間がかかる。このため例えば、京王新線の初台駅から東京メトロ丸ノ内線の各駅へ向かう場合、都営新宿線に直通する列車に乗り、新宿駅ではなく一駅先の新宿三丁目駅で乗り換えると便利だ。しかし、新宿-新宿三丁目は都営地下鉄なので、3路線分の運賃を払うことになり割高だ。初台-四谷三丁目の運賃は、新宿三丁目乗り換えなら380円、新宿乗り換えなら280円といった具合だ。

 運賃体系を一元化する際には、安い方に合わせるのか、高い方に合わせるのか、あるいは中間的な新体系とするのかが大きなポイントになる。現状の都営地下鉄は割高だ。初乗り運賃であれば、東京メトロは6キロまでで160円なのに対し、都営地下鉄は4キロまでで170円だ。初乗りを超えると20~110円、割合にして11~37%高い。

 両地下鉄を一元化しても、運賃が高くなるケースが多く出てくると、利用者には不満が募るだろう。かといって安い方に合わせると減収になる。事業者側は難しい選択を迫られる。