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ケンセツ的視点

東京メトロと都営地下鉄、一元化の障壁は?

2010/08/04

8月3日に開いた「東京の地下鉄の一元化等に関する協議会」第1回会合に出席した猪瀬直樹東京都副知事。経営統合を含め一元化について議論したいと、あいさつの場で語った (写真:ケンプラッツ)

 東京メトロと都営地下鉄――。事業主体が異なるこれらの地下鉄を一元化しようと、東京都が動き出している。8月3日に第1回の協議会を開き、年度内を目標に方針を固める見通しを示した。

 2つの地下鉄は並列に見えるが、資本上は親子の関係に近い。東京都は東京メトロの株主であり、出資比率は46.6%と過半に迫る。53.4%を出資する筆頭株主である国に対して都は6月28日、都営地下鉄との一元化について協議の場を設けるよう求めた。国による東京メトロの株式上場にも「待った」をかけた。都によると、地下鉄の一元化で利便性が向上し、経営の効率化も図れるという。一元化に向けて立ちはだかる障壁は何なのかを以下に解説する。

戦時体制で営団設立、戦後は都も自ら参入

東京メトロ銀座線上野駅の1927年ころの様子。当時は東京地下鉄道という私鉄が運営していた (資料:東京メトロ)
現在の東京メトロ銀座線の溜池山王駅ホーム。1997年の南北線延伸に伴って設置した新駅だ (写真:ケンプラッツ)

 なぜ東京には2つの地下鉄が存在するのか。まず、歴史を振り返っておく。

 東京メトロの前身は、日本で初めて地下鉄を開通させた東京地下鉄道にさかのぼる。同社は1927年に浅草-上野で営業を始め、34年には路線を新橋まで延伸した。もう一つの地下鉄事業者であった東京高速鉄道は、38年に渋谷-虎ノ門を開通させ、39年1月には新橋まで延伸した。同年9月に2線の直通運転が始まった。これが現在の銀座線だ。

 戦時体制下であった38年に、鉄道やバスの経営統合を促進する陸上交通事業調整法が施行された。東京市内(当時)の地下鉄は、41年に半官半民で設立された帝都高速度交通営団(営団)へ2社から運営が移された。営団設立時の資本金は6000万円。このうち、国が4000万円、東京市が1000万円、その他電鉄会社などが1000万円を出資した。銀座線を完成させた2社は出資者の中に含まれていなかった。

 戦後、営団が政府の資金運用部資金融資を受ける際の条件として、GHQ(連合国軍総司令部)が民間出資を排除するよう求めた。51年の帝都高速度交通営団法改正に基づいて、52年に営団が民間から株式を買い取った(買入消却)。

 新たな地下鉄の建設は、営団が進めることになっていた。しかし、インフラ整備を急ぐ東京都は58年、営団から都営浅草線(1号線)の免許を譲り受け、地下鉄に参入した。この時点で東京には再び2つの地下鉄事業者が存在することになった。

 営団から民間資本がなくなった後、毎年のように国と都がほぼ同額ずつを出資した。その結果、出資比率が変わっていった。現在と同じ状態になったのは86年。資本金は581億円、国と都の出資比率は53.4対46.6になった。

 90年代になるとバブル経済の崩壊に伴って、行政改革の必要性が叫ばれる。政府は2001年、特殊法人などの整理合理化計画を策定した。営団については、完全民営化に向けた第一段階として、04年をめどに特殊会社化することとした。それに沿って生まれたのが現在の東京メトロだ。

高槻 長尚ケンプラッツ

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