日経ホームビルダー8月号の使えるニュースで「内部割れした乾燥材が流通」という記事を書いた。現在、乾燥材で最も普及している「高温セット法」に関する話だ。
同法による乾燥材で、内部割れの生じているものが市場に流通している。120℃の高温で乾燥する時間を24時間以内、以降は温度を下げるといった乾燥スケジュールを守らないと、内部割れが生じる。適切な乾燥スケジュールでつくられている材であれば強度の低下はないが、内部割れが多く発生するとせん断強度が低下する可能性がある‐‐。
この問題を取材して、記事に盛り込めなかったが、読者に伝えて聞いてみたいことがある。
一つは、内部割れした高温乾燥材が、市場にどの程度流通しているか。
国の研究機関も割れを認める
内部割れした乾燥材があること自体は、守谷建具店(埼玉県所沢市)の守谷和夫さんをはじめとする住宅のつくり手たちが告発している。記者も実際、複数回目にした。
高温セット法に内部割れのリスクがあることは、国の研究機関である森林総合研究所や自治体の林業研究機関などが認めて、製材会社にも伝えている。ただ、研究機関は市場の状態まで把握できていないという。
流通の状態は、建材販売店やプレカット会社がよく知っているはずだ。しかし、記者が取材した建材販売店やプレカット会社は、内部割れの事実を「知らない」と答えた。
森林総合研究所加工技術研究領域長の黒田尚宏さんは、乾燥材の内部割れをなくす方法として、「ひどい内部割れを見つけたら返品すること」を提案する。それには、乾燥材を多く扱う建材販売店やプレカット会社の協力が欠かせない。
住宅のつくり手はもちろん、建材販売店やプレカット会社などが、内部割れした乾燥材を扱った経験があれば、割れの状況などを教えていただきたたい。