ゼネコンの設計・施工といえば、「安くて、手堅い」が魅力の一方で、「無難で、意外性がない」のが難点というのが筆者のイメージだった。こうした印象を覆す挑戦的なプロジェクトが完成した。横浜市みなとみらい地区に建つ「みなとみらいセンタービル」だ。大成建設の設計・施工で、一見すると巨大な四角い箱という、地味な印象を受ける。ところが、随所に挑戦的な工夫が凝らされている。

 まず、高さ100mの超高層オフィスビルを鉄筋コンクリート造で建てている。しかも、ラーメン構造ではなく、外周に壁柱を並べた構造を採用。免震や制震といった最先端の技術を駆使して実現した。80m×23mという広い執務空間は、外壁に面しても柱がない無柱空間となった。事業主の1社、オリックス不動産は、柱がある一般的な賃貸オフィスより有効スペースが1割くらい広くなり、テナント企業に対してセールスポイントとなる、と高く評価する。※詳細は事業主のインタビュー記事を参照

幅1600mmのRC造・壁柱がすらりと立ち上がる。外観デザインの大きな要素になっている(写真:ケンプラッツ)
幅1600mmのRC造・壁柱がすらりと立ち上がる。外観デザインの大きな要素になっている(写真:ケンプラッツ)

エコボイドを見上げる。反射ミラーを使って最上階から太陽光を導く(写真:ケンプラッツ)
エコボイドを見上げる。反射ミラーを使って最上階から太陽光を導く(写真:ケンプラッツ)

 環境配慮の設計によって、横浜市から容積率約250%の割り増しを受けたことも特徴だ。敷地のほぼ半分を公開空地とし、建物の中央に配置した吹き抜けには太陽光が低層部のロビーまで差し込むよう光を導くシステムを採用した。高さ100m級の超高層建物での導入は初めてだ。こうした取り組みによって、横浜市からCASBEEの「Sランク」認証を受けている。

 空気を送るダクトの代わりとなる吹き抜け「設備ボイド」を採用し、基準階の床面積を抑えるなど、基準階レンタブル比(床面積に対する賃貸面積の割合)80%以上を確保。建物全体でもレンタブル比74%という高い割合を実現した。