京浜急行鉄道が5月16日に実施したダイヤ改正が波紋を広げている。ダイヤ改正は、京急蒲田駅付近の高架化の一部完成に合わせて実施した。都心と羽田空港を結ぶ全列車が停車していた同駅を、一部の列車が通過するようになった。大田区・区議会・区民の3者が一致団結して通過反対を京急に訴えている。

 通過反対を唱えること自体に異議はない。ただ、なぜ通過に反対するのか、反対する側の説明が気になった。すべての区民が連続立体交差事業について詳しいわけではない。大田区のウェブサイトにある記述に対して、少なからず誤解する区民が出てこないだろうかと心配になった。

 まず簡単に、ダイヤ改正を巡る経緯をみておく。新ダイヤで京急蒲田駅を通過するのは、都心と羽田空港を結ぶ速達列車「エアポート快特」だ。昼間を中心に20分間隔で、平日は上下39本、休日は74本を運行する。

 区のウェブサイト「京急ダイヤ改正に対する大田区の対応について(平成22年5月24日更新)」によると、新ダイヤについて区が京急から説明を受けたのは4月。区と議会が通過しないよう要望したものの、京急が5月7日、当初通り通過するダイヤを公表した。その日のうちに、区長、区議会議長、区民協議会代表が連名で抗議声明を発表した。要旨は次の通りだ。「区はまちづくりの施策として高架化に取り組んできた。駅周辺の整備も進めてきた。核となる京急蒲田駅が『エアポート快特』の通過駅となることは容認できない」。

 5月15日に区など3者が「蒲田駅通過反対区民大会」を開催し、通過反対の決議文を採択した。同日、京急に決議文を手渡したものの、同社は「協議の場へ参加したい」と回答するにとどまっている。