11連休も夢ではない今年のゴールデンウィーク。山に海に、海外にと出かける人も多いだろう。一方で、「どこへ行っても混んでいるこの時期には出かけない、家でのんびり過ごしたい」という人も少なくないのではないか。そんな「うち飲み」ならぬ「うち休み」派にうってつけの新刊建築書を3冊、紹介したい。

 軽く読めて、深く考えさせられるのが「三低主義」(隈研吾+三浦展/NTT出版/1575円)だ。

 建築に求められるものが、「高層、高圧的、高尚」の「三高」から「低層、低姿勢(かわいい)、低炭素」の「三低」に変わりつつある。――。そんな仮説の下、著書「下流社会」で知られる消費社会研究家の三浦展氏と、建築家である隈研吾氏が行った対談をまとめている。

 「既に若い女性のあこがれは、東京都内でいえば青山の高級マンションから谷中の長屋へと変わっている」といった身近な例を示しながらも、話すテーマはいたって重い。米国のサブプライムローン問題に端を発した経済危機以降、建築に対する人々の姿勢は変わる。中古住宅の改修や複数の入居者によるシェアなど、住宅の私有を絶対視しない「三低」の方向に向かうはずだ。新築住宅の取得に縛られない分、福祉や休暇に重きを置けば、社会全体が豊かになり、人々は幸福になり得るのではないか――。二人は、こう推察する。

 「住宅は福祉の別名だって再定義すべきで、住むって、生きることじゃなくて、弱ること、死ぬことなんだっていう再定義がいる」「死ぬための街、弱い人が幸せに暮らせる街に再編成する知恵とプロデュース力が建築家に求められているんだと思う」。こんな刺激的な見解を述べる隈氏の軽快な語り口に、最後まで読まされ、考えさせられる。