筆者宅のリビングと廊下を隔てるドア。アンダーカットは2センチ強あり、すき間には大人の足が十分に入り込む (写真:ケンプラッツ)
筆者宅のリビングと廊下を隔てるドア。アンダーカットは2センチ強あり、すき間には大人の足が十分に入り込む (写真:ケンプラッツ)

 東京都の調査によると、ドアと床のすき間(アンダーカット)に、幼児が足を挟まれるなどのけがが多発している。このすき間はシックハウス対策に必要で近年、普及してきた。化学的な安全を目指したら物理的な危険が新たに生じたという、皮肉な結果だ。

 筆者宅の室内ドアもこのタイプ。しかし、竣工から6年以上たち、室内の臭気はほぼ完全に感じなくなっている。最近は、何のためのすき間なのだろうと思ってしまう。清掃中に綿ぼこりが行き来する、遮音がいまひとつ、寒いなど、欠点が目立つのだ。加えて事故多発の事実を知った。改めてアンダーカットについて、シックハウス対策について、考えさせられた。

アンダーカットは数年で不要?

 シックハウス症候群の原因は、内装材に含まれる揮発性化学物質だ。気密性の高い新築住宅が増えた1990年代に顕在化した。2003年施行の改正建築基準法に対策が盛り込まれた。原因物質の一つであるホルムアルデヒドの放散量が少ない内装材の使用と24時間換気装置の設置が義務化された。ドアをアンダーカットすれば、24時間換気装置は最少1台に減らせる。

 筆者宅は改正法の施行前年に建築確認が下りており、シックハウス規制は受けなかった。ただし、各室のドアにはアンダーカットがあり、浴室の換気装置には24時間連続運転用のスイッチが付いている。各室の吸気口から空気を自然に取り入れて、1台の換気装置で機械的に排出する。分類でいえば第三種換気に該当する。もっとも、これらの“対策”は、法に適合していないかもしれない。壁紙やフローリング、接着剤が低ホルムアルデヒド(F☆☆☆☆)のものかどうかも不明だ。

 竣工は03年末。直後はさすがに化学物質の強烈なにおいが充満していた。筆者は当時、建築は専門外だった。24時間換気を正しく理解しておらず、せっかくの装置を動かしていなかった。それでも、においは日に日に軽減していった。積極的に自然換気したからだ。冬季だったので風が強く、自然換気の効果は高かった。