ケンセツ的視点

早起きキャンペーンで通勤ラッシュを緩和する

2010/03/04

早起きキャンペーン
東急電鉄
東京メトロ
通勤ラッシュ

 相変わらず混雑の激しい東京の鉄道の通勤ラッシュ。路線によっては、朝のピーク1時間当たりの乗車率が200%前後と、すし詰め状態だ。鉄道会社にとってラッシュの緩和は、今なお最重要施策の一つになっている。

 一方の利用者にしてみれば、「早起きは三文の徳」だが「言うは易く行うは難し」といったところか。多くの人は始業時間から逆算して起床や出社の時間を決める。その結果、一定の時間帯の列車に多くの人が集中している。

 利用者になんとか早めに出社してもらおうと、動機付けを試みる取り組みがある。東京急行電鉄(東急電鉄)と東京地下鉄(東京メトロ)の「早起きキャンペーン」がそれだ。朝ラッシュのピーク前に乗車した人に対して特典を与えることで、混雑の緩和をもくろむ。どの程度の効果が見込めるのか、ほかへの応用は可能か。

東急田園都市線でこの冬初めて実施

 東急電鉄が実施したのは「田園都市線『早起き応援キャンペーン』」だ。田園都市線の中央林間−池尻大橋間で所定時刻前に乗車すると、都心部で朝食や喫茶などの割引が受けられる。2009年11月に5000人を募集して、12月1日〜18日の平日にキャンペーンを実施した。

 ICカードの乗車・定期券である「PASMO(パスモ)」を所定時刻前に自動改札にかざすと、携帯電話に電子メールでクーポンが届く。これを店舗で提示して当日限りの特典を受ける。対象店舗は、牛丼店の「吉野家」、喫茶店の「エクセルシオールカフェ」、スポーツクラブの「ティップネス」の3社152店に加え、東急電鉄が運営する語学学校の「東急セミナーBE渋谷校」だ。例えば吉野家であれば、朝定食が50円引きになる。

店舗名 対象店舗 特典(税込み)
吉野家 渋谷、千代田、港、品川、新宿、中央、豊島の7区内68店舗 朝定食を50円引き。5時〜10時
エクセルシオールカフェ 渋谷、千代田、港、品川、新宿、中央、豊島の7区内78店舗 コーヒーかカフェラテのサイズをアップ(SはMに、MはLに)。開店〜11時
ティップネス 渋谷、新宿、池袋、五反田、六本木、TIPNESS ONE 日比谷の6店舗 7時〜10時のモーニング利用を1回500円に
東急セミナーBE 渋谷校 朝専用語学クラスを25%割引(1回3150円に)
田園都市線「早起き応援キャンペーン」参加者が受けられる特典の概要 (資料:東急電鉄の発表資料を基にケンプラッツが作成)

 同線が最も混雑するのは、池尻大橋駅から渋谷駅までだ。2008年度はピーク1時間当たりの混雑率が193%だった。都心への路線を持つ私鉄7社の主要12区間中、最も高い数値だ。冬は利用者が厚着になることから、車内の混雑がより激しくなる「着膨れラッシュ」が起こる。こうした背景から、冬季にキャンペーンを実施した。

 同社はこれまで、様々なラッシュ対策を実施してきた。大きな投資としては、同線の二子玉川駅で枝分かれする大井町線の改良が挙げられる。都心への新たなルートとして利用しやすくするため、一部区間を複々線にしたうえ急行列車を設定した。

 数キロメーロル南に並行する同社目黒線の輸送力増強工事も、実は田園都市線のラッシュ対策という側面がある。横浜市北部に港北ニュータウンが広がっており、整備が進むにつれて都内への通勤者が増えている。これまでは、横浜市営地下鉄ブルーライン(3号線)に乗車し、あざみの駅で田園都市線に乗り換えるのが一般的だった。08年に港北ニュータウンを通るもう一つの路線、市営地下鉄グリーンライン(4号線)が完成した。ほぼ同時に工事が終わった目黒線とは、日吉駅で相互に乗り換えられ、都心への新ルートが整備された。

 田園都市線自体の改善については、増発を繰り返し、最小約2分間隔で列車を運行している。座席を畳んで立ち面積を増やし、全体として収容力を向上させた車両を、10両編成中3両に導入した。さらに、ピーク時は急行運転を取りやめて、急行に乗客が集中しないようにした。

 そしてこの冬、ソフト面での対策として早起きキャンペーンを実施した。

「ライフスタイルを変えてほしい」


高槻 長尚ケンプラッツ

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読者のコメント (4 件)  ※[ログイン]すると全文表示、投稿・投票ができます
 電車の混雑度が下がり、所要時間の短縮につながるなら早出出勤もいいと思います。
 ですが、20分前にでる1本前の電車は連結両数が短い編成で、かえって混雑は激しく、乗り換え後の接続にも問題があるため勤務先到着時刻は5分とかわりません。
 こんなのでは、誰も利用したいとおもわないでしょう。
(buschan 2010/03/10 09:58)

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東京に転勤した頃、ラッシュを回避するために45分ほど早めに家を出ていた。ところが、ほどなくして混雑回避には無意味なことがわかった。30分早目の電車もギリギリの電車も、ほとんど混雑度が変わらないのだ。その理由はダイヤにある。朝早い時間帯は運行本数が少なく、混雑度はあまり緩和されていないのだ。
3年前に鉄道会社に、早朝出勤の動機付けのために早い時間帯の本数を増やすべきだとの投稿をしたが、同時に提案した緩急が途中で快速に抜かされなくなる改善はしてくれた(この点は感謝します)ものの増発はなかった。もともと会社の始業時間が一般より早く、この時間帯はピーク時間帯と比較すればまだましであることが理由かと思う。
高収益を求めるならば全ての列車が均等に高い乗車率を保つのが理想であるが、ラッシュの緩和を本気で考えるのならば、早ければ早いほど空いているという状況を作り出すようなダイヤ編成が早朝出勤の動機付けとなる。
(東京の通勤列車は奴隷輸送列車と等しい 2010/03/10 08:58)

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朝早起きをして朝のラッシュを避けて通勤しようという人は結構いると思います。私の周りにも若い人から年配の人までいます。ただし,早朝は利便性が悪い。座れる可能性はありますが,本数が少なく各駅停車しかない,乗り継ぎが悪いなどです。急行,特急などを含めて現状より早い時間から本数を増やすことをすれば早い時間にも分散するはずです。
(早起きのススメ 2010/03/10 08:45)

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交通機関の通勤ラッシュを緩和する努力には本当に頭が下がる。設備面のみならず、様々なキャンペーンなど、非常に評価できる。しかし、通勤ラッシュは通勤のためであり、そのゴールである勤務システムを変更しなければ、ライフスタイルを変化させることは困難だと思う。
私は早起きは得意な方で、独身時代には朝早くからの始業1時間以上前には出社していたが、家族ができてからは、朝の時間は大切な家族と過ごす時間の一部だと考えている。私もそうだったが、通常の帰宅時間が子供の就寝よりも遅い人が多数ではないだろうか。だとすると朝食前に家を出て、仕事場でゆったりするよりは、朝に時間があるなら家族とゆったり時間を過ごす方が健全ではなかろうか。
(早起き大好き 2010/03/04 05:01)

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