「今まで申し上げてきた道路整備とはまったく違う考え方で、2010年度予算に反映させるのは無理だ。党としてのまとまった議論としても認識していない」。前原誠司国土交通相は12月22日の会見で、民主党が政府に申し入れた重点要望について、こう言い切った。大詰めを迎えた10年度予算案の編成作業。高速道路の整備のあり方を巡り、政府・与党間で激しい綱引きが続いた。

12月22日、定例記者会見に臨む前原誠司国交相(写真:ケンプラッツ)
12月22日、定例記者会見に臨む前原誠司国交相(写真:ケンプラッツ)

 民主党は12月16日に申し入れた重点要望の中で、「高速料金割引制度を見直して浮いた財源を、高速道路会社に回して道路整備を推進せよ」というメッセージを打ち出した。これは、前原国交相が従来、説明していた「高速道路は無料化し、必要な道路整備には税金を充てていく」という原則と相反するものだった。

 前原国交相は就任直後から、高速道路の整備を議論する「国土開発幹線自動車道建設会議」(国幹会議)の廃止など、道路整備事業の抜本的な見直しを打ち出してきた。10年度予算の概算要求では、道路の新規事業を原則ゼロとするなど公共事業費を8000億円以上削る一方で、高速道路無料化には6000億円を計上していた。

 当初の高速道路の建設抑制の方針を貫くのか、建設推進に転換するのか。前原国交相は、「今までの高速道路についての抑制、高速道路のみならず、公共事業については『コンクリートから人』へという考え方の下で抑制するという考え方に変わりはない」と強調した。民主党の要望をどのような形で反映させるのか、難しい舵取りを迫られることになった。