「2011年度概算要求までに見直す」と前原国交相

 「国土交通大臣としての考え方を、総理も含めて官邸に伝えた。最終的には、総理が3党と議論してどう判断されるか。総理の判断には従う」――。

 前原国交相は12月22日の会見で、高速道路の整備のあり方について、民主党の要望を踏まえて2011年度の概算要求までに抜本的に見直すという考えを表明。鳩山由紀夫首相に最終判断を委ねたことを明らかにした。「高速道路会社にお金を渡して整備するということは全く議論していないことだ。2010年度予算に含めるということはあまりにも短期間で、方針変更は国民の理解を得られない」。

 高速道路無料化については、「マニフェスト項目として6000億円を概算要求していたが、ほぼ1000億円になろうかと思う」と大幅な予算圧縮になる見通しを示した。その上で、利便増進事業の組み替えなどで党の要望に一定の配慮を示す考えを示した。「制約要因の中で党の要望も含めて、無料化実験、割引実験を全国で行っていきたい」。

 今後の高速道路無料化の進め方は、建設の方向性にも影響を及ぼす。「高速道路無料化に対しては多くの皆さんから慎重にやったほうがいいという意見がある。30兆円を超える長期債務の償還を考えたとき、どういうフレームワークで高速道路の維持管理と、今後の整備をするのか、今一度、根本的に考え直すきっかけを(民主党の)提言は与えてくれたと思っている」(前原国交相)。

「個所付け」は国会審議前に公表

 政府・与党間の綱引きは、予算案の確定をもって一応の決着を見る。国交省は予算案が確定した段階で、無料化の対象路線と実施時期を公表する方針。道路整備の具体的な個所付けについては、国会審議に間に合うタイミングで公表する考えだ。

 前原国交相は高速道路の整備について、新規事業を凍結した上で、費用便益による評価手法などを見直し、個別事業の再検証を進めるシナリオを描く。今後、焦点となるのが事業評価手法の見直しだが、高速道路整備を巡る綱引きの中でさらなる曲折が予想される。