インターネットを使った住宅の販売が増えている。アイフルホームやパナホーム、ミサワホーム、三井ホームなど、全国展開するハウスメーカーや住宅会社が主な担い手だ。「ネット販売住宅」は営業コスト(展示場の維持費、人件費など)の大幅な削減が見込めることから、営業コスト比率の高いハウスメーカーや住宅会社がローコスト住宅を手がける手段として、相次いで販売戦略に取り入れ始めている。(ネット販売住宅については「デフレ時代の住宅販売戦略」を参照)

 エス・バイ・エルは2001年からネット販売住宅を手がけてきた“老舗”だ。2009年10月にウェブサイトをリニューアルし、契約に至るまでの商談をすべてネットで完結できるようにした。ネット販売専用住宅「LinC(リンク)」の建物本体価格は、2階建て(延べ面積86.11m2)で1026万9000円から用意する。

エス・バイ・エルの「ネットdeすまい」の画面。マイページでは、外観や内観のシミュレーション、インテリアの選択、オプションを含めた概算見積もりなどを検討できる
エス・バイ・エルの「ネットdeすまい」の画面。マイページでは、外観や内観のシミュレーション、インテリアの選択、オプションを含めた概算見積もりなどを検討できる

 試しにエス・バイ・エルのホームページ「ネットdeすまい」を登録してみた。まずメールアドレスやパスワードなどを入力して「マイページ」をつくる。マイページ上では、自分で外観、内装、間取りなどを比較したり、概算見積もりやスケジュールを検討したりできる。プランは延べ面積に応じて限られた中から選ぶことになるが、選択肢は557種類ある。外観や内観は3DのCGパースでシミュレーションするので、空間を立体的に確認できる。

 さらに興味深いのは、価格の明瞭(めいりょう)さだ。プランごとの建物本体価格はもちろん、オプションを選んだときの価格も明示される。例えばオプションには、省令準耐火仕様への変更(+9万3000円)、2階にトイレを追加(+12万8000円)、ガス給湯器をエコキュートに変更(+47万円)などがある。

 建て主が、設計者の手を借りずに、自分で好みのプランを検討できる仕組みはネット販売住宅ならでは。価格の安さや明瞭さ、手軽さなどと相まって、家づくりのハードルを下げる効果がありそうだ。以下では、ネット販売が住宅設計に与える影響を探ってみる。